あかんたれブルース

継続はチカラかな

魔王竹中平蔵を倒せ!



つまらん正月番組の喧騒から逃れるように
元旦の夜九時からNHKスペシャ
「どうするニッポン 2020年・東京五輪への始動」
という対談番組を観てました。
出演者は(年代順)年齢はだいたいの記憶
鎌田實(医師・作家)65歳
竹中平蔵慶応義塾大学教授/元閣僚)62歳
藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)?
森川亮(LINE社長)?
宇野常寛(評論家)35歳
白木夏子(ジュエリー会社代表取締役) 32歳

60代から30代の論客で6年後の日本を占う
民放的な罵倒パフォーマンスこそありませんでしたが
竹中平蔵の論調に出演者が凍りつく場面があり
なかなか考えさせられるトーク番組でした。

子育てしづらい日本社会。これについては
みんさん同意見だったのですが
竹中さんの教え子の今何が必要かという問いが
メイドさん」だったという答えから・・・

そこで若手論客宇野常寛
もう夫婦で子育ては無理。子供は社会で育てる。
みたいなことのたまった。

そこで、竹中氏が
「そういう物言いは聞こえはいいが
 結局は年寄りに押し付けるということ」
と、ずばーっと袈裟懸け。

負けじと宇野常寛
「僕らはもうそんな追い立てられるような
 生き方は嫌なんだ」みたいな不平を唱えたら

「誰もそんなこと言ってないじゃないですか」
と、まったく相手にしないコドモ扱いの対応に
緊張が走ったわけだ。
おい、日本総研藻谷浩介援護してやれよ!


竹中平蔵は強豪だ。
古市憲寿なんかに比べたらぜんぜんマシな
宇野常寛でも50人束になってもこれじゃ勝てない。
ま、勝ち負けの問題じゃないんですけどね。

小泉改革の祭の後で、その綻びから
小泉・竹中批判がひとつの芸風・ジャンル化
して久しいです。が、それはもひとつの
アプローチであってパフォーマンスでしかない。
嫌韓で夕刊紙週刊誌が売れるのと同じ。
小泉さんが竹中さんが米国の手先だったなんて
いう論調は陰謀説とそうかわらないのだ。

それにしても竹中平蔵のこの揺らぎない自信、
ときとして不遜とも思える傲慢はどこから?
柔ちゃんみたいな柔和な笑顔と口調とのギャップに
舐めてかかると身包みはがされるそうです。

しかしね、竹中さんのいうことが
正しいわけじゃない。
ほかの出演者のいうことが間違ってるわけじゃない。
番組のテーマである日本の変革にはみなさん賛成
なわけですからね。
では、なんで話がかみ合わないのか?

(見据える)視点が違うのだ。
これは教育改革などでも同じ、全体のどの層に
視点を置くか、で違ってくる。
それぞれが知りえるリサーチしたケーススタディ
さえもその階層が様々です。
そういう矛盾を断片的に開帳しても
混乱をきたすのがオチということが多い。

つまり日本人全体を三角錐にしてみたて
その尖端の上部を見据えるか
それとも中間層を捉えるか
いやいや底辺を意識するか
この違いで大きく変わってしまうものです。

その矛盾を燻りだすのが全員が共通する
「有能な人材」の活用というものだ。

番組中に米国の経済学者が日本に必須なのは
構造改革」であり、女性の社会進出を
訴えていました。

しかし、世界的な失業者の増加傾向
そして機械化、システム化、合理化のなかで
そんなに労働力を社会(企業)は必要とするのか?
女性の社会参画は聞こえはいいのですが
この女性という言葉には条件がある。それは
「有能な」というものです。

当然ですが、女性が社会進出すれば
そのぶん追いやられる男性陣は増えるわけだ。
早い話が有能か有能じゃない、という
篩がかけられることであって
ここに格差社会が生まれる。
これ当然ですよね。

当たり前のことだけれども、
この現実だけでも冷水に値するわけだ。

ほとんどの労働者が有能じゃない。
これが現実です。
そういう人材は企業は必要としないのだ。
本当はその有能という基準が問題なんだけど
そこまでも考える余裕が社会にない。

それよりも
平等を求める社会から生まれる惰性。
競争原理で動く現実社会の不平等。

私たち自身でさえ、その都度その立場で
どっちのでも転んで不平を訴える。
竹中平蔵はそれを熟知して
その三角錐の天辺を機械のスイッチ、ポッチの
ようにつまんで捻ろうする。
それは、経済学だけでなく心理・哲学を網羅した
効率的な正論なのだ。

討論のなかで「まとまらない」現在の事象を
国民の「成熟」と表現していましたが
(発言者は宇野常寛
それもキレイ事であり
そんな寝言に竹中平蔵は薄ら笑いすら浮かべる。
役者が違いすぎるよ(汗)

東映時代劇でいえば
竹中平蔵月形龍之介だ。
対する宇野常寛夏八木勲
藻谷浩介は里見浩太郎だから太刀打ちできない。
森川亮にいたってはトニー谷
鎌田實は・・・堺駿二堺正章の父)
月形龍之介を切るには歌右衛門か千恵蔵
若手でも大川橋蔵ぐらいじゃないと斬れない。

しかし、残念(?)なことに
竹中平蔵の正論は理解されない。
どんな有識者、論客をねじ伏せようが
一般人を、特に女性を口説けない。
「あの人は女性を理解していない」でちょん。

なにが残念かといって
あそこまで理論的で冷静で弁が立つのに
まったく素人に説得力がない、ってことは
これは致命的な欠点であって
あの人が学者どまりという限界がそこにある
ということでもある。わけです。
難しいものだなあと思いますです。
というのも、どんな大学者でも哲学者でも
テクノクラートであっても民衆の心をつかめない
施政者は必ず(絶対に)失敗するという
鉄則がある。それも悲惨な結果を招く。

竹中平蔵は今後ますます老獪に強かになり
その理論は玄人受けしていくことでしょう。
それがゆえに危険な人物だ。

対して、それに対抗できる論客が登場するのは
かなり難しいと思うのです。
NHKが集めた論客は自分の経験した事象でしか
捉えられない語れない限界があり
その本質まで気づいていない。
(いても言えないのかもしれない)
本来そういうのを司会者がうまく整理できれば
いいのでしょうが、それも難しいようです。
池上彰だったら上手く交通整理できたか?)
ましてや、ただウケるからといっての
アンチ竹中パッシングでは屁の突っ張りにもならない。
悩ましいことだと思いました。

竹中平蔵を粉砕しなくてはならないのですが
竹中平蔵を叩き潰すには
女性陣の浅はかで感情的な「生理的拒絶」しかない。
それで事足りるのかもしれません。
ただ、願うことならば、正攻法で正面から
ガブリヨツの本格派が完膚なきまでに
打ちのめしてほしいと思うのです。
そういう論客は出ないものでしょうか・・・

批判するのはキスより簡単に思われがちでしたが
そういうことももう言ってられない時機に
さしかかってきたんでしょうねえ。

ツッコミも内容が問われる
ただツッコメばいいお気楽な時代はお仕舞い。
ということだ。