あかんたれブルース

継続はチカラかな

黒田官兵衛から軍師の条件



今年のNHK大河ドラマは『軍師官兵衛
ということで黒田官兵衛が主人公ですね。
戦国時代豊臣秀吉に仕え天下を取らした稀代の軍師。
この秀吉には二人の軍師がいて
先に竹中半兵衛というこれまた優れた軍師がいた
が残念なことに病に倒れてしまった。

人材というのはとても重要で
一騎当千の将軍が何人いようとも
軍略を司る軍師参謀がいないとどうにもならない。
それを痛感していたのが「三国志」の劉備玄徳だった。
劉備伏竜鳳雛いずれかを手に入れれば
天下を取れると予言され、
伏竜・諸葛亮孔明三顧の礼で迎え
後に鳳雛こと龐統も招聘に成功します。

劉備の血胤の元祖で前漢の創業者劉邦には
張良という優秀な軍師がいて、後に陳平も加わる。

司馬さんの作品に「軍師二人」という小編があります。
ここでいう二人とは真田幸村後藤又兵衛
舞台は戦国末期の大阪の陣。
といってこの二人、戦国武将としてスターではあっても
はたして軍師といえたか・・・

この後藤又兵衛は黒田家の家臣で
藩祖黒田官兵衛にことのほか可愛がられた
実子の長政以上に。
それもあって嫉妬されて出奔してしまう。
男の嫉妬って恐いもので、後藤又兵衛ほどの
技量の武将であれば当時は引く手あまた
なのですが、長政がそれを邪魔して
結局、又兵衛は大阪城に入城し散り花を咲かせる。

幸村にしても又兵衛にしても
最初から負け戦の覚悟があったんでしょうねえ。
その意味でも、この二人軍師とはいえない。

悲劇の名将はありえないという名言があります。
つまり名将は運がなくては名将とはいえない。
名軍師も負け戦をやっては名軍師とはいえない。
そういう宿命のせいか、軍師参謀はときとして
非情で冷酷な臭いがある。
それはあの孔明でさえもある。
泣いて馬謖を斬るわけですからね。ところが
ここで泣いてしまうところに孔明のつらさがあり
人間味があって、
それでライバル司馬懿仲達に勝てなかったのかも。
もっとも
「死せる孔明生ける仲達を走らす」わけですから
能力的には孔明のほうが上だったのでしょう。
運と蜀と魏の国力差というところでしょうか。
まあそこが諸葛亮孔明
今だ変わらぬ人気の理由でしょうが。

乱世を制する偉業に貢献した最大功労者の軍師
ですがその後は必ずお決まりの粛清がある。
それ以前に倒れた軍師はまだ幸せでしょう。
敵がなくなって秩序維持の施政となると
要危険人物として警戒される運命です。
あの陳平もそれで隠棲した。

その警戒心が杞憂でないことを立証したのが
死んだ孔明に追い立てられた司馬懿
子から孫の司馬炎の代で曹操が建てた魏を簒奪し
(西)晋を建てるわけです。
生前の曹操
司馬懿は誰かに仕えるような男ではない」と
常に警戒していたといわれます。

黒田官兵衛も天下統一の過程までは
秀吉とは良好な関係でしたが
やがて秀吉から警戒されるようになります。
ましてや秀吉死後の家康にとっては想像以上。

こういった点からも官兵衛の能力は非常に高かった
といえるでしょうねえ。
官兵衛自身も家康べったりの実子長政には
食い足りないものを感じていたようです。
それもあって後藤又兵衛をことのほか愛した。
皮肉な話ですが
ここにまた黒田官兵衛の人間味があるわけです。

司馬遼太郎の作品で官兵衛を主人公にしたものでは
播磨灘物語』という長編があいますが
いまひとつ官兵衛の魅力がぱっとしない。

あれはなんて作品だったか司馬さんの短編で
隠居した官兵衛が若い村娘を傍に置き
座位でまぐわいながら接客するシーンがあった。
なんか凄みがあったですね。
朝鮮の役当時、陪臣でありなかがら
並みいる戦国大名を屁としない自負心
家康なんて狸爺扱いだ。

親友荒木村重の謀反を諌めに単身乗り込み
幽閉されてしまう人間味とも比較して
非常に魅力的な「軍師」です。

日本史でいえば
黒田官兵衛児玉源太郎三木武吉
最後の三木武吉は小粒かな?
もしかすると竹中平蔵はその座を狙っているのか
それはちょっと難しいかもしれませんけどね。

ま、それは大河ドラマ観てみなさんお考えあれ
わたしも大河ドラマ龍馬伝』から『八重の桜』と
また観るようになって今回は黒田官兵衛なので
観ようかな、と思います。