あかんたれブルース

継続はチカラかな

愚かな女



母から小包が届きまして
中身は正月の鏡餅
それに富山の薬とお茶でした。
この間、送るからと電話があったのですが
蒲鉾送ってね、のメッセージはすぐに
忘れちゃったみたいで
そのかわりに大きな林檎が二個入っていた。
一個500円はしそうな立派な林檎です。
日が経ってすこし傷んでる部分があったので
早速切って明日の弁当のリンゴサラダにでも
しましょうかと
そして一切れつまみ食い・・・

不味い。

なんか変な味がする。

変な風味、かな

なんだろう・・・

懐かしいような・・記憶を辿れば
仕舞ってあった雛人形とか桃の節句の人形を
床の間の奥から出したときの、あれだ。
推測するに
この林檎は長い間仏壇のお供えだった
その間の線香の臭いが芯まで沁みついた
ようです。
もう一個も確認しましたが、同じ。

まったく食えない(涙)

こういう女なんだよなあ

わたしに
溢れんばかりの愛情を注いでくれる
この世で数少ない人だけど
ガサツで大雑把で繊細さがなく
男に生まれてきたら
きっとよい仕事をしたんでしょうが
悪気はなくても
なんかちょっと残念な女です。

愚か。なんだろうねえ

木曜日に届いた小包の段ボールと一緒に
金曜日の燃えるゴミに直行した
母の愛情。
こういう苦い思いを何十年もしてきて
若い頃はイライラしたものですが
なんと申しましょうか
いまはこの愚かさが愛おしい。

町には、世間には
愚かさが溢れているのですが
なんと申しましょうか
それとは会社が違うようだ。

もしかしたら、愛というものは
それ自体が、愚かなもの
なのかもしれませんね。

みゆき嬢はこう歌った

 時は 全てを連れてゆくものらしい
 なのに どうして
 寂しさを置き忘れてゆくの
 いくつになれば 人懐かしさを
 うまく捨てられるようになるの

  難しいこと望んじゃいない
  有り得ないこと望んじゃいない

時よ 最後に残してくれるなら
寂しさの分だけ 愚かさをください


愛は愚かさのなかにある
いまはそれが愛おしい