あかんたれブルース

継続はチカラかな

上橋菜穂子ワールドの誘い

心の扉(2)


ウクライナ上空でマレーシア航空旅客機が
撃墜されたという報道に世界が震撼しています。
まだ詳しい事実は確認されいませんが
どうも親ロ派が政府軍の地対空ミサイルを奪い
それを使っての誤爆だった可能性が高い。
まさかCIAの陰謀ではないでしょう。

とは別に、イスラエルでは
イスラム原理主義組織ハマスに対する
掃討作戦としてガザ地区への
イスラエル軍空爆、地上進攻攻撃が展開され
多数の死傷者が出てるみたいです。

そういうえばイラクも大変なんだよね。
あっちもこっちも大変だ。
そしてどっちにも言い分があるから困ったもんだ。

どっちにも正論、正義がある。
議論なんかで決着つくもんかい。
利権があるから生活がかかってるし
憎悪がある。
途方もない悲劇の連鎖は繰り返されていく。

一昨夜、NHKクローズアップ現代だったかな?
児童文学の上橋菜穂子を紹介していた。
結構な人気みたいで、子供だけじゃなく
大人も魅了されているみたい。
わたしはよく知らなかったんだけど
そういえば以前BSで『獣の奏者』観てたな・・
あの原作者なのね。

代表作『精霊の守り人』(守り人シリーズ
その魅力・・・
上橋さんの世界観は単なるSFファンタジー
超えているところにあるみたい。

違う言語、文化をもつ人間の価値観は
違っていて当然。
そこから理解がはじまっている。

私たちは異質なものに対して警戒する。
これが偏見や差別を生み出すタネとなる。
こういうのは年齢を重ねるごとに強くなりますが
子供だってあるよね。
そういうものは教育で正すものですが
それがどうも怪しいんだよね。
そりゃそうだ教える側が偏見に凝り固まってたりする
なーんてことはよくあるものです。

作家、表現者、伝える者としての
上橋菜穂子はそういう世の中のジレンマに
若い頃から思い悩んでいたようです。
オーストラリア留学中、先住民族アボリジニとの
交流から、彼女の創作の柱が定まっていきます。
どっちが正しくてどっちが間違ってるという
勧善懲悪ではなく、それぞれが理解しあい共生する
そういう選択肢。
それを「理想」といってわらうかもしれないけれど
私たちが考えられる可能な理想であるならば
それに近づけるのが最善の道ではないか。
そういうニュアンスのことを語っていました。

その彼女の思いが作品に込められていて
読者はそれに深く強く共鳴している。
なんかいい感じ。

SFファンタジーだから許されるとか
児童文学のジャンルだから、とか
哲学のための哲学なんてものでもなく
啓蒙などでもなく
マーケティングの関所を潜り抜けて、などではなく
活字をもって伝える力の最後の砦として
存在しえた希望であり、理想をもとめる指針
私たちの心の扉をひらくヒントになるののではないか
そう思うとなんか救われるよね。
今年の夏の親と子の読書のテーマに
上橋菜穂子ワールドを堪能してみるのも
いいかもしれませんよ。

心の扉をひらくひとつの手掛かりは
世界観をひろげることにあると思う。
学ぶといういうことや知識を得ることは
そのための手段であって
人間をつき動かす好奇心というものもそこにある。
ノンフィクションばかりが信奉され
真実の粗探しをして善悪を篩にかけても
答えはでないことに気づいているのではないか?
なにが正しくてなにが間違ってるいるのか
それは個人個人が定めて、選択していくものであり
強要される、できるものではない。
自分が嫌だと思うことはしない。
まずそこからじゃないでしょうか。