あかんたれブルース

継続はチカラかな

弱者は最後までシラをきる



今週、火曜日放送の『花子とアン』で
ヒロインの腹心の友葉山蓮子(仲間由紀恵)の
夫が日中戦争和平工作を行ったカドで
憲兵に逮捕拘束されました。
それを「非国民的行為で危険分子だ」と
当時の人たちは批判し、ヒロインや周囲も困惑
するという流れでお話は進行しています。
お茶の間の受け止め方も
当時の世間の意識とは別として
ヒロイン側に立って蓮子やその夫の考えや行動は
いささかフライング気味と捉えるのかもしれない。

先回お話したように、蓮子は白蓮(燁子)という
実在の人物で、その夫は宮崎龍介といいます。
龍介の父は宮崎滔天という孫文の片腕だった人物。
中国人が足を向けて寝れない恩人なのだ。

日中戦争、正式には支那事変は軍部の甘い目論見を
よそに泥沼化してしまう。
これを解消することは政府軍部共通の課題だった。
なのになんで宮崎龍一は拘束され非国民扱い
されないといけないのか?

素朴な疑問としてそう思わないか。

現実を知らされずトチ狂ってる
国民はいたしかかたないないとしても
憲兵隊の花子の兄は職務を超えて
めぐりが悪いということ
なんでしょうかね。時代だからね。

その憲兵隊を動かしていたのが東条英機
なのですが、東条だって馬鹿じゃない
日中戦争の泥沼からはやく脱出したかったはずだ。
政府も外務省もみーんな同じだ。

当時の日本にあって固く深い
中国(孫文蒋介石など)ルートをもつのは
当初から孫文を支援してた
宮崎滔天犬養毅頭山満、それと梅屋庄吉
ぐらいのものでしたが前記二人は他界してる。
そこで滔天の息子龍一や二六新報の秋山定輔らが
人肌脱いだわけだ。お国のためだぞボランティアで。
なのになんで非国民国賊扱いされないとならん
政府は軍部はなぜ邪魔をする?
それぞれが和平工作は模索していたはずだに・・

ルートが正式じゃなかった
外務省はそれが気に食わない
つまり外務省の面子の問題。
これって後の幻の近衛・ルーズベルト会談を
ぶっつぶしたのとまったく同じ。
もし成功したら太平洋戦争は回避できた。
このときは東条だって期待していたんだ。

バカバカしい話しだと思わないか?

この日中戦争泥沼化から海軍の仏印出兵
そこから米国の逆鱗をかって石油をストップされ
窮地に追い込まれて太平洋戦争に突入する。
誰だって米国とは戦いたくなかったんだ。

戦争(流れ勢い)が恐いのはこういうこと。

このドラマに限らず、この時代を描くドラマでは
蓮子や龍一の思想や行動が進歩的過ぎていささか過激
みたいに描かれています。
正しいんだろうけど、赤旗購読者みたいな感じとか。
だからあんまり親しくしないほうがいいよ
という花子の夫の意見は真っ当に聞こえる。
さわらぬ神にタタリなしみたいな。
非国民扱いまではしないけどついてはいけない
距離を取る、です。

でもさ、これって知らないで済まされるのか?

この和平工作失敗のあと
東久邇宮の切望で頭山満が動きます
そのときは緒方竹虎中野正剛が手足となった
それも潰される。
日中戦争停戦は日本の悲願にも関わらずだ!

そして民衆は非国民国賊扱いだ。
ホントにみんながそう思っていたのかな?
なんか言い訳じみていないか。
花子のラジオ放送に対する疑問は頷けるとして
それを前向きに捉えるあのアイデアには
理論的に無理があるんじゃない。
決して時代のせいにだけはできないと思う。

ここにすり替えのトリックがある。
戦争に反対してのは左翼思想家だけじゃない。
右翼も軍人もほんとはみんな反対だった。
そうじゃない人はあんまり考えてない人
お調子者、頭の悪い人
そういう人たちが多かったのだ。
事実を報せれてなかったんじゃ済まされない。