あかんたれブルース

継続はチカラかな

『苦役列車』より『モテキ』だろう!



なんの因果かみょうな巡りあわせで
苦役列車』を観る。
西村賢太芥川賞受賞作の映画化ですが
なにが因果で巡りあわせが云々かというと、
主演が森山未来だ。
そう映画『モテキ』からテレビ版まで観てる、アレ
今朝はそれを記事にして、横道世之介も登場させて
論じたばかりだ。
そして共演がその世之介を演じた高良健吾ときては
なんか変な心もちになりますよ。

舞台は1986年の青春です。
わたしよりちょっと若いけど、まあまあ同じ感覚。
世之介もそのくらいだったのかなあ・・・

モテキ』と『世之介』と『苦役列車』が
二等辺三角形のトライアングル
無論この『苦役列車』が底辺にあるわけだ。
こういう青春・・あったよねえ
泥臭い。

わからんでもないけど、わたしはここまで
自堕落でもグダグダでもなかったからね。
家賃溜めたりもしなかったし
知り合いに借金して踏み倒したことこともない。
だから西村賢太の青春の蹉跌に同情できないのだ。

いつだったかバラエティショーのトーク番組に
出演してた西村が尖がったことを宣まっていた。
芥川賞)受賞後にそれまで音信不通だった
母親から連絡があったそうで、それが金の無心
だったかどだかで「冗談じゃない」と。

何があったかは知らないけれど(その時は)
そんなものかねえ・・・
そういうことをベラベラ喋れるものだと
ちょっと興ざめしたものでした。
歪んでるよなあ・・・捻くれているのか
荒んでいるのか、自分には真似できない。
学歴のないことに反発してるようですが
実際はそのことを強く意識する裏返しが痛い。

この『苦役列車』の主人公(西村本人)も
愛することを、その表現を知らない。
「やらせろ」と単刀直入が痛い。
それは学歴がないとかのせいじゃないと思うよ。
モテキ』の主人公も「やりたい」一心ですが
このギャップはなんなんだ?
民度の差? 時代性? 質の問題か?
ヘタレ同士ではあっても
モテキ』の主人公のほうが、まだマシだよ。

友達を求めるくせに、あの世之介にさえも
匙を投げられる。自業自得だわなあ

くすんだ窓ガラスから差す蛍光灯の灯り
それが一瞬だけ季節はずれの海で泳ぐ
三人の若者の姿。そこだけが眩しかった。
そこだけだった。

こういうのを「くすぶり」と表現するのですが
ラストはそこから執筆に打ち込むというエンディング
これって、サクセスストーリーなのか?

なんにしてもこういうのをチヤホヤしすぎだと思う。
映画祭でも文学賞でもなんでも
苦役列車』29点。私的には赤点追試です。
ま、こういう青春の風景もあったけどね。
苦労や不運や放浪を権利取りにするなよ。
そんなのは資格でもなんでもない。

とは別に、しみじみと
俺ってなんかとことん喜劇なんだよねえ
と救われるやら情けないやらあきれるやら
ま、そういうのがしょうにあってるというか
そういう人なんでしょう。
いまどきの文学には遠い存在なんでしょうねえ。
だから一人でしみじみ酒なんか飲ないし
女のいる店でも飲まない。

友達ねえ。

それにはそれなりのこっちにも
また相手にもある種の仁義ってものが
あるように思う。
今朝一件誘いがありましたが、断った。
体調がよくなったら
高田のオヤジかJJ.とでも飲みに行こうかな
あれらとだった飲んでもいいよなあ
そんなことを思わせる作品ではあったかな。

そうそう、主演の森山未来
夫婦善哉』から不思議な俳優だなあと
気になっていましたが
上手いか下手かはよくわからないけど
モテキといいこの苦役列車といい幅のある
不思議な俳優だね。
こういうのが「魅力」なんでしょうねえ。
今後も注目します。