あかんたれブルース

継続はチカラかな

問題は面白くないことだ。



久々に図書館で面白い本にめぐりあえた。
井波律子『中国侠客列伝』(講談社
2011年発行だから割りと最近の出版物だ。

中国の春秋戦国時代から清朝までの
国史(正史・フィクション含めて)の
侠客の歴史をたどったものです。
ちょっと前のブログ記事もこれを参考に書きました。

高島俊男先生は中国の革命史を
「盗賊」の歴史と喝破されましたが
この本ではそれを「侠客」というフィルターで
俯瞰しているわけで、非常に興味深く
楽しく読ませていただいております。

こういった中国モノって好きで
それは宮城谷昌光の影響も強いと思う。
共産党支配の中国にはなんの魅力もありませんが
それ以前の中国って面白いなあと思う。
ま、別な意味で今の中国も面白いですけどね(笑)

日本人にとって一番馴染みが深い中国モノは
なんといっても『三国志』(演義)ですわねえ。
その一雄を担った蜀の劉備玄徳は腹心の股肱の臣
関羽張飛と桃園の誓いから義兄弟となったわけです。
つまり主従関係ではなく擬似兄弟関係。
ここが面白いんですよね。

豊臣秀吉には弟秀長、
三菱の岩崎弥太郎には弟弥之助
と女房役、サポーターがいましたが
こういった例は希で、だいたいが骨肉の争いと
いうのが多い。か、疎遠か。
北島三郎が謳うように
♪親の血を引く兄弟よりいもお
 固い契りの義兄弟
ってところでしょうかね。

この本にちらっと幕末の志士達は
ある種の侠客の精神を有していたと記されていましたが
それはいえているよなあと納得するわけです。
伊藤博文井上馨の関係は義兄弟そのものだった。
薩摩の西郷・大久保・伊地知正治の関係も
従兄弟であても西郷従道大山巌
竜馬と陸奥宗光
それは明治になってもかわらない
児玉源太郎乃木希典
島村速雄と加藤友三郎
杉山茂丸と佐々友房など多くの盟友たちも
そこが面白いわけであって
そういうのがない現代ってものが面白くない
最大の理由じゃないかと。

こういうの信義、信頼の濃い関係性による
ものですから、男女間でも当然成立する。
盃事はやくざだけのものではなく
男女が結ぶ結婚式での決め事ではないか。
それは教会であっても
良いときも悪いときもと誓いあったはずなのに
ちょっとしたことで反故にする
そういうのが定番化し常識になってしまっている。
ま、相手によりますけどね。
お互いさまでもある。

よく男と女の友情の有無が議論されるけど
それはそれ以前の問題なんじゃか?
ニワトリが先かタマゴが先かよりも
性善説性悪説かよりも
もっと明確なものはないかと思うのでした。

現代社会をえぐるなんてコンセプトで
下世話みせられて開き直れても
むなしくなるだけで屁のツッパリにもならない。
そんなものリアルでもなんでもないよ。

やっぱり面白くないとねえ
男も、女も