あかんたれブルース

継続はチカラかな

日本映画恋愛最高傑作の格付け

それでも花は咲いていく 10


男女の恋愛には格付けがあると記しました。
ここでいう格とは、能力でも家柄肩書き学歴でも
年収でもましてや容姿でもない。
はっきりいえば、魂の純度のことです。

それをもって『長崎ぶらぶら節』の愛八と古賀を
横綱の取り組みと表現しました。

日本映画の傑作ベスト10で必ず上位に顔を出す
成瀬巳喜男監督の『浮雲
ベストワンは常に『七人の侍』でも
この作品はどんな大会でも2位から5位に入ってる
掲示板を外さないのだ。
原作はあの林芙美子
男の女のメロドラマなのですが
演じた男は森雅之と女が高峰秀子
日本映画史上屈指の名優のガブリヨツだ。

で、この作品の男と女の恋愛大相撲の番付でみると
双方幕内どころか序の口ぐらい
ちっちゃい文字でみえないよ(汗)
まったく冴えないのだ。
とくに男は二枚目だけが取り柄で女にだらしない。
いつもフラフラしてるし自分勝手・・・
なにかしたいのですが運にも見放されている
身を持てあましてる甲斐性なしの男
女はメンクイでそんな男に愛想を何度も尽かすけど
結局、別れられない・・・
だめな男とだめな女の物語なのだ。

かなり底辺にちかい愛の低空飛行
どしゃぶりの不良馬場人影まばらの佐賀競馬場
未勝利のアラブの狂想のようです。

僕も帰るから君も帰れよの
男の冷たい言葉に

「私はどこへ帰るのよ? 
 どこへも行くところがないでしょ

 私も連れて行って」

せつない台詞だねえ
ふたりの愛の終着駅、流刑地屋久島だ。
昭和30年代の屋久島は遠い。
そしてこの年中雨ばかりの島で愛は永遠となる。
まるでフェリーニの『道』のザンパノのような森と
ジェルソミーナほど可憐ではないけれど
可哀想な高峰秀子

未熟な男と女の恋愛
それをお似合いのカップルと表現するの?
お似合いだったらお似合いで
いいんじゃないかと思うけどね。

小津安二郎
「俺にできないシャシンは溝口の『祇園の姉妹』と
 成瀬の『浮雲』だけだ」と語ったいう。