あかんたれブルース

継続はチカラかな

『細雪』偉大なる変態の反戦姿勢



唸っております。体調が悪いわけではない。
昨日BSで市川崑の『細雪』を観たのが原因。
いやあ上手い。脱帽でっせ。
原作は偉大なる変態谷崎潤一郎
物語は戦時中(支那事変)の大阪が舞台
上流階級の日常、ホームドラマです。
上流といっても昨今のセレブとか富裕層とは
格が次元が違う。価値観が違うのだ。
なんてことのない日常の出来事が続くのですが
これがみせる。ちら見のつもりが最後まで
市川が上手いのか俳優陣が上手いのか
原作の力なのか
公開は1983年(三度目の映画化)は
たしかリアルタイムで劇場で予告編をみてるはず。
いままで見逃していたことが悔やまれます。

大正から昭和へ
日本は軍国主義時代に突入し暴走していく・・・
谷崎はこの作品を有事のなかで書きました。
外の世界の喧騒に耳を塞ぎひたすら
滅びゆく古き時代を締め切った書斎のなかで
ひたすら守っていたようです。

別に抗争とか殺人とか相克愛憎濡れ場が
あるわけじゃない。
クライマックスは本家の長女が上京する
だけの話なのだ。
現代人であり下々のわたしなんかとの
ギャップはタイムスリップしたブッシュマン
ほどにあるんだろうに、なんでここまで惹かれるの?

こういう反戦とか自己主張もあるんですね。

なにかの番組で、教育テレビだったかと思う。
そういう谷崎を変態が知性でそれを御しした
のような表現をしていました。
変態は知性でハンドリングできるものなんだ。
JJ. 読書に励めよ。
そういえば団鬼六先生も変態を愛で統治して
おられましたよねえ。
崇高な変態、万歳!です。

細雪の本家は大阪上本町にあった。
いまでは近鉄があって
劇場があって島津亜矢の歌謡ショーやってて
坂を下れば鶴橋で焼肉
新宿をコンパクトにした感の町に
ひっそりとした佇まいでそれは在ったわけだ。
時代と共に町も人も変わるんだねえ。

さてさて『細雪
変態文豪谷崎潤一郎が凄いのか
それを映像化した市川崑の演出のワザか
演じた俳優たちの技量なのか
いろいろなことを考えさせられる・・・
ともかく昨日から唸りっぱなしだ。