そんなヒロが好き
二十年前、二十歳のヒロは一人旅に出た。
それが自分探しの旅だったのか
一時所払いの兇状旅だったのか
失恋の痛手を癒す旅だったのかは知らない。
ともかく、人一倍甘えっ子で
寂しがり屋のヒロが一人で旅に出た。
旅の行く先は南へ南へと沖縄だった。
その旅先で一人の若者と知り合ったといいます。
まだあどけなさの残るこの若者も一人旅で
宮崎から来たという。
ヒロより二歳ほど年少だったそうです。
旅は道連れと遠い旅路の空の下で
二人は一緒に旅を続けた。
お互いが何を思い何を語ったのか
そこまで聞いていませんが
青い沖縄の空と海の間に二人の若者
Stand By Me の唄が聴こえてきそうでした。
旅の終わりが近づいてきたころ
「これからどうするんだ」とヒロが聞いた。
宮崎の若者はすこし考える仕草のあとで
顔を上げて遠くをみつめて
「そうですねえ、やくざにでもなりますか」
と答えたそうです。
ヒロはそこで二人の旅を終わらせず
そのまま実家の甲州まで延長させたそうです。
そのままほおっておけなかったんだね。
数ヶ月、その若者はヒロの実家の居候となる。
そのときの所持金は二万円だったとか
そこから仕事を探して
彼の新しい人生は始まった。
それから二十年の月日が流れる
彼はその地で結婚し、子供が産まれ、家族ができて
家を建てる。
昨日はその引越しだったそうで
ヒロはその手伝いに行ってたみたい。
嬉しそうなヒロの顔が眩しい
Stand By Me の唄が聴こえてくる
えんでない♪
https://www.youtube.com/watch?v=BTCfQ6Bb8QE