あかんたれブルース

継続はチカラかな

コケオドシと金筋の違い

昨夜、WOWOWにて『凶悪』を観る
以前、トリックスターさんの記事にて興味深く
食指が動いたのですがおおよそ前半あたりで
匙投げてスイッチを決してもうた。
昨今の日本映画の、ノンフィクションの
臭みに辟易させられた。
こういのがもてはやされてトレンド化されてるのが
すべての停滞の因ではないかと
わたくし個人的な見解にて候。
臭いといえばこの作品からは北関東の悪臭も
ぷんぷんだった。と書くと善意の批評になるけれど
そういったリアリティーには非日常的のぞき趣味的な
見世物小屋的な下品さえ感じるのでした。
あくまでも私見として、趣味趣向ですよ。

一夜明けて
朝っぱらから口直しに『どら平太』を観る。
山本周五郎の原作を
市川昆、黒澤明木下恵介小林正樹の共同企画脚本
タブレットからで漢字が上手く出せないこと御免)
それがお蔵入りして30年
市川監督でようやく公開にこぎつけた作品です。
2000年の作品だからもう16年前ですねえ
以前BSで後半からでしたが面白く観たので
口直しに最初から腰を据えて観ただよ。

よかった。

テンポがよくて実に小気味よい。
黒澤の用心棒と椿三十郎を足したような出来だ。
といって血が出ない。
唯一ラストで宇崎竜童の切腹ぐらいかな
役所広司の殺陣の迫真の殺陣はすべて峰打ち
それが赤ひげの鉄拳の如く痛そうでした。

よかった。

実によい出来だった。
こうでなくっちゃねえ
役者も揃っていたけれど
この16年でおおかた死んでしまったよねえ
さびしいことです。

保守的といわれるでしょうが
プロがいなくなっているといわれて久しい
日本映画もプロとか職人ではなく
セミプロや感性や才能とやらが牛耳っているようで
間延びした映像に物思いにかられしまうのだ。
そっちの方向じゃないと思うけどね、わたしは。

市川監督も七回忌を過ぎてしまいました。
わたしにとって最後の巨匠
この人の作品は好きだ。プロだよねえ
どら平太』のキャスティングクレジット
太明の直角タイポグラフィ
犬神家の頃からワクワクさせられた。
文字ひとつでそそられた。

こうでなくちゃねえ