あかんたれブルース

継続はチカラかな

大笑い三十年の馬鹿騒ぎ


久々のDVD鑑賞のレビュー記事です。
新・仁義の墓場』(2002年)
前々から押さえておきたと思いつつ
四半期経っちゃった。
「新」ということはリメイク版ということで
オリジナルは深作の『仁義の墓場』つーのがある。
原作は藤田五郎ですが
実在のモデルがいて、戦後やくざの代表選手でもある
石川力夫という「厄ネタ」の末路を描いたもの。
渡哲也の記念すべき東映デビュー作品でしたが
興行的にはふるわなかった。
深作実録路線としては珍しく前半の15分から先は
陰々滅々たる作品でウンザリさせられる内容だった。
ただ、一部の稼業人には好評で
幻の名作ともいわれてはいるけど、
わたしは好まない。
何が悲しくてこんな映画観なきゃいけないのか
まったく忍耐の映画鑑賞修業でした。

この作品をわざわざリメイクする
企画自体が解せなかった。
監督は名匠三池崇史つーのに食指が動くのですが
中身が石川力夫ですからねえ

鑑賞してみて
ま、東映(実は大映だけど)Vシネマとしては
良かったほうだと思う。
主演の岸谷五朗も一生懸命頑張っていた。真面目に。

でもやっぱりかったるかった。

こういうのをやくざ映画で描くところの
「滅びの美学」といえるのか?
そうそう、要は
石川力夫の生き様が美学じゃないんだよね。
厄ネタが後半覚醒剤中毒で気がフレタ
だけの話じゃないか。

ただ一点、本来やくざという人種は
擬似家族という縦社会の組織人であるのに
石川はそれを破った異端者というのがミソなわけ
ですが、だからアウトローっていうのもねえ。

「大笑い三十年の馬鹿騒ぎ」
これが石川の辞世の句
美学といえばこれだけだ。

『新仁義の墓場』に話を戻して
同じ原作なのになぜ主人公名を石川ではなく
架空の名称に変えたんだろうか。
もっと、自由に描きたかったから?
設定が終戦直後から
バブル終焉の現代に置き換えているのも
予算の都合とはいえ、つらかった。
実際にああいうテンパった犯罪者いますからねえ
石川力夫でなくとも。
と非常に点が辛い。

持ち上げすぎなんだよ。
役者が一生懸命であればあるほど
なんなんだこれはと引いてしまう。
岸谷には別な機会として
新山口組三代目』で田岡一雄を演じてほしい。

それと、有森也実が良かったです。
これが拾い物。