あかんたれブルース

継続はチカラかな

白い巨峰をシャブル

山崎豊子原作、山本薩夫監督
白い巨塔』(1966年)を観る。

以前中盤をチョイ観はしたものの、今回は
2時間29分一本勝負
いやあ役者が揃ってるから息をつかせぬバトルロイヤルで
前半は大学病院の人事抗争(教授選挙)
後半は一転して法廷闘争と
実に見応えがありました。

主演の田宮二郎がよかったは勿論ですが
その義父役の石山健二郎
愛人役の小川真由美が絶品でっせ。
東野英治郎小沢栄太郎などなど
登場人物ほぼすべて悪人ときているから
真っ当な田村高廣が間抜けにみえて仕方ない。
獅子の時代加藤剛現象だな)

善玉悪玉が明確でなく
限りなくダークグレーな世界
無論、勧善懲悪なんかじゃないし、
主人公も悔い改めたりなんかしない。
左遷される田村の社会正義が道化というか
無力の王にみえちゃうんだな。
「こんな告発が通れば設備の追いつかない町医者は廃業だ」
という大阪医師会幹部の台詞にも頷いちゃう。
深いというか恐い作品だよ。

なわけで、クライマックスの東都大教授の滝沢修の台詞が
含蓄があって納得させられる始末だ(笑)。
こうなると観てるこっちはついつい財前派の一味となって
相手派閥や中立正義派さえも闇に葬ってしまいたくなる
そんな悪徳の作品でした。

舞台が大阪ということもあって
アクの強さに関西弁のねっちょり感が絡んで
下手なやくざ映画よりピカレスクなこと
しかもこの悪党どもすべてが医療関係者ってとこが
救われない。

公開時のキネ旬のベストワン作品は納得。
仁義なき戦い』に比肩する
日本映画の傑作悪徳群像劇でありました。
点数? ★★★★☆ 95点

昭和40年頃の大阪駅周辺がみれるのもよかったです。
大阪駅」ではなく欧文でオオサカステーションとあった。
不思議な感じだね。

この作品と田宮二郎の末路の点と点を
みょうに結んでしまうのでした。