あかんたれブルース

継続はチカラかな

知らぬが仏の顔も三度笠

エリーへの伝言(4)

そんな「僕」の愛の包茎を剥いて
違う! 愛の封印を解いてくれた女性がいた。
愛を懐疑していた僕たちだったのに
いつしか愛を語り合っていた。
彼女によって僕は愛を知らされたのだ。
蘇生され生かされた
ある意味で命の恩人だっただろう。
二人の愛の言葉が地上を照らし濡らした。
けれども天空の太陽と月のように
決して交わることはない。
夜と朝の間に互いの温もりを確認し合うだけだった。
僕は彼女の顔を知らない。
歌の好きな女だった。
意地でもオリジナルのキーを死守するので
声がときどきにひっくり返りはずれる。
平たくいえば下手だった。

愛の言葉が煮詰まった頃
「わたしの町に来れますか」
唐突に胸元にナイフを突きつけられた。
日本海に面したその地方都市に
当時北陸新幹線も開通していなかったこともあり
一瞬、目が泳いだけれど
大きく息を吸って
「行きます!」
と言ったらドン引きされた。

たぶん、僕たちは
どこかでほんの一瞬交わったのだろう。
それまで不可解な力で引き寄せられた二つの光は
瞬きしたあいだに交差してどんどん離れていった。
宇宙の法則では
二度と永遠に出会うことはないという。

まるで僕に愛を教えてくれるために
地上に現れた天使のようだった、知らんけど。
あぁあ大阪にドップリ染まっちまとるやんけ。
ぐっすん悲しい色やねん