あかんたれブルース

継続はチカラかな

西郷どんは知っていた。

十年ひと昔というならば
むかしむかしそのまたむかしの頃
おばさんの演歌歌手が
🎶わたしの大事な旦那様~
と歌っていたサビの部分が耳につき
いまだにこびりついている。
https://m.youtube.com/watch?v=IWvlfPYIZ38

ちょっとした昭和トラウマなのですが
この呪縛を見事に上書きしてくれたのが
西郷どん』の島妻・愛加那演じる二階堂ふみ
「旦那さま~」

これがカウンターとなって馬太郎予選敗退です。毎週ネ

二階堂ふみが愛くるしく
素朴で純粋な島娘を好演している。
愛加那の愛は一途で健気で、愛加那ラブリーっす!

愛加那の名付け親は西郷どんですが
天啓仁愛をモットーにした西郷どんならとばと
納得するわけだ。
ところがさ
「愛」が「ラブ」と解釈(翻訳)され
広まったのは明治になってからだ。
西周らが六明社した後と考えれば)

したがってソレ以前の愛と
ソレ以後から現在の愛とは異質なものだという。
ソレ以前の愛は戦国武将直江兼続の兜に
燦然と輝く愛だった。
兼続のスローガンの愛は領民や家臣を照らしていた。
つまり、ソル以前の愛は仁と等しく
仁愛でセットになる慈悲慈愛のスピリッツであり
大きく捉えれば博愛精神だ。

天啓仁愛・・・西郷隆盛はそのように生きた。

わけですが
愛加那への想いは博愛の一端だったのか?

違うなあ

西郷は知っていたんだ。
この時代の人間としてこれはビックリだ‼
もうちょっとツッコムと
西郷どんと愛加那は当時としては希な恋愛結婚です。

といっても、愛加那は島の人間
西郷は本土の流人といっても薩摩藩士。
士農工商の士とその外の関係で
正式な婚姻関係は結べない。
西郷が許されて帰国しても愛加那は島から出られない。
嫌な言い方をすれば単なる現地妻なわけです。

さて、そんな愛加那ですが西郷どん
「旦那様~」と慕ってやまない。
士族といっても扶持も目仕上げられた無期懲役囚だよ。
冒頭の『私の大事な旦那様~』には
「甲斐性」の臭いがぷんぷんする。男の甲斐性ね。
けれども
愛加那の旦那様にはまったくそれがないんだな。

沖縄同様に搾取された鹿児島の島の人々
にも関わらず島の人々は西郷を敬愛し続けている。
天啓仁愛の人西郷どんはあのドラマの如く
人を愛し、そして愛された。
愛加那も愛されたんだなあ

手垢まみれの古ぼけた自虐史観でますます
捉えづらい西郷隆盛という人物像を
大河ドラマ西郷どん』の奄美大島編と愛加那が
浮き彫りにしてくれる。

青い空と青い海の間で
小さな二階堂ふみの愛加那が大きく手を振る。
「旦那様~!」

感無量。