情動の知性(2)感情制御(其の三)
快活に明朗にポジティブに。こういったのが健全のスローガンでしょうか。
けれども、この世に宣伝される健全さがあまりにも正当化され過ぎて
危うさを感じてしまうことがあります。
人間の心には光と影が存在するものです。
光だけを追い求めて影を拒絶することに無理がある。それなのに、
誰かが面白可笑しく「中島みゆきは暗い」と唱えれば、大多数がそれを常識としてしまう。
確かにみゆき嬢は「恨みます」という生涯最大の汚点というべき曲も作ってしまいましたが、
それ以外の作品を知らないものたちから、
いまだに、「中島みゆき、暗いですね」と言われると、私は怒る(笑)。
それは、司馬遼太郎が「女が書けない」という認識と同じで、
借り物論理からの伝言ゲームでしかない。
ジョン・ウェインが大根役者だ。というのと同じだ。
そこまでの英語力があるのか? 話がちと、脱線(汗)。
ポジティブにアクティブに、もいいけれど、人間そうバカじゃないんだから
そうそう全天候型でプレイはできません。私たちは東京ドームじゃない。
晴れの日もあれば、雨の日もある。
雨になれば神宮外苑の弁当屋は投げ売りしないといけない。
風が吹けば桶屋が儲かるのが世の中の法則。
二日酔いの翌朝に襲われる喧噪の後の憂鬱は、
どこかで体調だけでない心のバランスをとろうとする働きなのかも。
だから無理して明るくしなくても自然でいいのではないでしょうかね。
自然体っていうのが一番強いものです。武道・格闘技の姿勢でも野球スポーツでも。
つまずいたり、悩んだりすることのほうがあたりまえであり、
そういうことのないのが不自然だと思うのです。
前記の「受容力」も含めて、この「感情制御」では、
あるがままの自分を受け入れて、そこからよく考えて、
上手に表現することが大切なのだと思います。その工夫は自分でやるしかない。
失敗を恐れずに、偽ることなく、自然体で。