あかんたれブルース

継続はチカラかな

エロの武士道

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なんか物議を醸しそうな、いや紛糾糾弾されそうなタイトルでゴメンなさい(涙)。

最近の流行として
武士道への懐古と憧れ、その回帰が切望されています。
気持ちは痛いほど、わかります。

この閉塞と腐敗と不信に満ちた社会に
わたしたちは落胆して苛立ち、その変革を求めてやまない。
もう一度、あの頃の日本人に戻りたい。

でもね、厳しいいいかたですが、
人間は、人生は、歴史は、後戻りはできないのです。
一方通行の一車線道路をわたしたち歩んでいます。

歴史に学べ。ということはノスタルジックに囚われて
後戻りしろってことじゃない。

徳川幕府がスタートされて、泰平の300年。
もともと武士は軍人ですから平和な世の中では無用の長物なのです。
家康もそれを危惧して刀を鞘に収めさせようと
柳生石舟斎、宗矩親子と沢庵和尚の思想を取り入れたり、朱子学をテキストにしたり、
幕府はバンバン外様大名を潰していきました。

はやい話が公務員改革です。多すぎるのだ。

浪人になった武士はやくざになったり、忍者は泥棒や古着屋になった。

旗本はグレて徒党を組んで愚連隊「かぶき者」を気取ったりしたよ。
火消しと相撲取りと大喧嘩をして、酒と女と男色に耽ってものさ。

文官で道を立てようにも、どうにも・・・自分を見失ってしまたようです。

一生遊んで暮らせれば、幸せ。そんな単純なものじゃないんだ。

なにか、この身を萌え~させるものが欲しい。

恋です。狂いたい。エロティズムが必要だ。

こういった不良武士になにかよい啓蒙本はないものかね、山本君。
ということで書かれたのが『葉隠』です。

「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」

ですね。これは主君の奉公マニュアルですが、「忍ぶ恋」という
君主との関係を恋愛関係になぞらえて書かれてある。
一見、当時の社会問題だった衆道(男色、武士同士の)の是正と捉えられたりしますが、
そんな単純なものじゃない。

愛で納得させようとしたんだ。いやエロティズムかな?
作者の肥前国鍋島藩藩士山本常朝したたか者です。

LOVEが輸入されてくる以前の「愛」は儒教的な解釈としては
主従の上下関係縦ラインのものだったといつか紹介しましたよね。
山本君はそこに着目したんでしょう。

忍べと。無償の愛なんだと。

つまり、人間には愛が必要なのです。
愛すべき対象がないと生きる張り合いない。わけだ。

そして、そのために死もいとわない、情熱的な想いが必要なのだ。
「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」

そのために禄をはんでいるんだと。
自己のアイデンティティーの確立ですよ。愛とはエロスとは。

ところがさ、水戸黄門の『大日本史』が編算されていき、国学が盛んなってきます。
カルチャーブーム到来の江戸後期。
この日本の真の主は・・・天皇なんじゃないか?
という素朴で真面目な疑問が生じてきました。
直属の上司でも藩主でもない。ましてや将軍でもない。
ここで、『日本外史』というとんでもない名文美文の本が出た!
頼山陽というポエマー作家の声にして読んでみたいこの名著を
全国の下級武士が暗記して大合唱です。

武士たちは恋をしました。
特に、関ヶ原の合戦で大失恋した外様藩士たち。
萌え~えええ!

そして、明治維新という大革命を起こしてしまいます。

愛のために。





愛と性に対しての補足として(9)エロティズムの正体(2)
ビジュアルは山本タカト丸尾末広じゃない)
モデルは馬太郎とつ~たん
ムッシュごめんね