嘘をつく女
早知子は悲しい嘘をつく女だった。
厭世観を漂わせたクールでニヒルな女。
最初はその仮面に騙されていました。
本当は怖がりなんだ。
人間を怖がっている。
独りが好きだと言う。
本当は淋しがり屋なんだ。
そして、
硝子のハート。
早知子は嘘をついていかないと生きていけない。
嘘が自分を守っている。そう信じていた。
それでも、
わたしを信じてくれるようになった。
と、わたしは思った。
違ったのだろうか?
よく分からなくなってきた。
これも早知子の嘘なのだろうか・・・
お互いのリズムがすこしずつ微妙にズレていくのがわかります。
小さなズレはやがて大きくなっていく。
焦ったけれど、どうにもならない。
そして突然、別れをきりだされた。
二日説得した。
三日目の朝、
「ごめんなさい」と「ありがとう」でピリオドが打たれた。
なんのための謝罪と感謝になんだよ。
わたしの最後の言葉は、
嘘つき!
酷い最後になってしまった。
やさしさなんて欠片もない。
最低の男。
嘘に嘘を重ねれば
真実に
変わるだろうか
もののあわれ 女の番外地(2)
ビジュアルはたぶん山本タカト