魔と呪（11）
クロちゃんが相当参っているようで
ルイちゃんの店に顔面蒼白でやってくるとか
「今度都合のあうときにまた俺から話してみようか」
それが先週の夕方でした。
打ち合わせを終えて地元の駅まで戻って
きっかり３時にファレスに入ってスタンバイ。
３時頃という話だったのに結局５時だった（涙）
コーヒー飲み過ぎて暖房が利き過ぎて暑くて気持ち悪くなってきた（汗）
「もしもしクロちゃん、ひさしぶり」
相変わらず、素朴で幼い口調です。
（そのしゃべり方から直さないとイジメは続くぞ）
とはいえないよね。
抜け毛を馬鹿にすると大変なことになると
わたしの知人で三十なかばで過労とストレスで
毛髪から眉毛、マツゲ、鼻毛、腋毛、陰毛と
体中の毛という毛が全部抜けた人の話をしました。
わたしじゃない！
昨年、再会しましたが前のままだったよ。
一度抜けた毛は元には戻らないと脅しをかけて
ツカミはＯＫ！
転職に二の足を踏むクロちゃんの不安は
（1）親父さんの反対
一人っ子で心配してるようです。我慢しろと。
クロちゃんも素直な子で父親の言いつけに逆らえない。
（2）クロちゃんの心配
この不景気で次がみつかるかどうかの不安です。
（3）買ったばかりのクラウン（涙）のローン
がまだたくさん残ってる。
対して、
可愛い一人息子が体調をおかしくしているのであれば
それをちゃんと話せば必ずわかってくれる。
（抜けた毛を集めておいてみせなさい）
聞けばクロちゃんの父上はわたしより5歳ほど年下だ
分別ざかりの52歳のわたしがいうのだから
そういいかげんな話ではない。
「馬太郎さんがそう言っていた」（誰それ？）
とでも言ってみなさい。
怠け者ではなく、むしろ頑張りすぎるから無理が生じたわけで
まだ若いのだから求人はいくらでもある。
仕事をやめるのではなく、職場を替えるわけだから
それでローンを払えなくなるという考えはおかしい。
その場合に
辞めてから仕事を探すとかじゃあダメ。
失業保険をもらわないと損するとかの考えはやめよう。
（アレはすぐはおりないから結局足が出る）
いまの職場で休日を利用して面接に行って
はっきりしてから退職の手続きをとる。
（うまくスライドさせてね）
男は仕事でも家庭でも遊びでもなんでも
並行させてやらないといけない。そういう訓練が必要。
繋ぎ合わせの直列人生設計はつまずきのもとです。
というようなことをアドバイスしました。
あと占い師に相談にいこうかなどと
とぼけたことをいっていたようなので
そういものはどこに行っても同じようなことしかいわない。
お金と時間の無駄。
それより変な呪いがかけられているだろうから
京都の貴船神社にでもいって御祓いしてきなさい。
とも付け加えたかな。
やさしくていい子なぶん、優柔不断なのだ。
いまは比較的大丈夫なようですが
かといって解決したわけではありません。
追い込まれてイザってときでは
身動きがとれない。
後手を踏まず、先手先手で動かないとババをつかむもの。
我慢もそりゃ必要だけれども
体を壊してはもともこもない。
精神的に痛んでいるから肉体が変調をきたすわけだ
そういうサインを察したら、即行動！
な感じでしたが
あとで聞いたところでは先方はファミレスではなく
クルクル寿司だったとか（ルイちゃんの希望で）
クロちゃんはわたしの話を黙って聞いていたというよりも
ときどき皿をとってモグモグしてわけだ。
音をさせないように（汗）、気をつけて（涙）
ルイちゃんはカウンターで積み重なった皿を枕に爆睡。
なんかさえないなあ・・・
で、そのあとでそういうやり方で会社を辞めるというのが
ルイちゃんの仁義にあわないということで
すこし揉めました。
会社や残った人に迷惑がかかるということだったけど
即座にすべて却下。
物事の優先順位付けがなっとらん。と説教したら
なんか相当ショックを受けていたようです。
ルイちゃんがいうのもわかるのだけれど
そういう発想は間違っているのだ。
こういう罠ってけっこうあるもんですよね。
もっとも、あるべきであって、あったうえで
もうひと捻りするのが本当の社会性なのだと思う、と。
ルイちゃんには目からウロコだったようで
これまでの人生とか自分の子育てのありかたまで
考え込んでしまったようです。
わたしは、クロちゃんやルイちゃんがダメとは思わない。
むしろそれが故に貧乏くじばっかり引き続けていることに
ジレンマを感じてしまうのでした。
日本の教育は間違っている。
そのことに臍をまた噛んだ。
