あかんたれブルース

継続はチカラかな

仁義なき戦いのように

村山さん、弾はまだ残っとるがよ(15)


相似というものがある。

簡単にいうと似てるものいう意味。で比較相対的な。

よく、判で押したように
「歴史は繰り返される」なんて台詞をいう人がいます。
そうじゃない。歴史は繰り返されてんじゃない。
そのときどきに似てる、相似現象が起こるから
そう錯覚してるだけなんだ。

歴史とは、時間という流れを航行する方舟のようなものだ。
時間は、ある方向に流れている。
それは螺旋を描いている。螺旋の円周はそれぞれ違うけれど
ある所々において非常に接近する場合があって、
酷似する現象が起きる。

そこで錯覚を起こしてしまうのでしょう。

ある意味で、人間というものがさほど進歩していないという
ことでもあるわけですね。

それでも過去の歴史をよく考察吟味することは
非常に有益な打開策となるものです。
短絡的に
「歴史は繰り返される」→だから「戦争はなくなならない」
→「それは歴史が証明している」では、だめなのだ。

ま、錯覚に陥るほどに、
この歴史の相似現象は面白いものです。

わたしが20代後半の頃でしたか、
山口組が分裂して
山一戦争という戦後最大の暴力団抗争があった。

三代目組長田岡一雄が死去し、
その後継者争いで組長代行の山本宏と若頭の竹中正久が
対立し、三代目文子未亡人が押す竹中が四代目を襲名。
それに反発した山本宏は古参実力者組長を率いて
一和会を結成。
当初は勢力的に一和会有利と見られましたが
山口組の金看板の威光は強く、次第にジリビンに追い込まれ
一発大逆転を狙い竹中四代目と若頭中山勝正らを暗殺。
大抗争事件となりました。

結果は新生五代目山口組の勝利ですが
双方の死者29名、負傷者は一般市民を合わせて70名におよんだ。

この山一抗争は
秀吉没後の関が原の戦いに酷似していました。
あの頃、馬太郎は毎週「アサヒ芸能」と毎日「東スポ」を
手にして血沸き肉踊るブルブル状態だった(涙)。

このキーマンは三代目未亡人の文子姐で、
彼女を秀吉の未亡人ねねに重ねると面白いのです。
ねねは豊臣方の石田三成ではなく、家康を支持しました。
文子姐は古参組長らから支持された山本宏ではなく
若手の若頭補佐だった竹中正久を支持した。
これが大きい。
それと組織力学でいう新旧の世代交代ですかね。

この山一抗争以前であれば戦後最大の暴力団抗争は
映画『仁義なき戦い』で描かれた広島抗争です。
終戦直後から昭和40年代までの第三次まであります)

これが朝日新聞の社内抗争に酷似してたわけだ。
朝日騒動というのは終戦直後から昭和42年まで
それこそ第三次まであった。

第一次抗争が終戦直後の「朝日十月革命

 二代目社長の村山長挙と緒方残党六人衆との対決が発端。

第二次抗争は昭和28年から勃発。

第三次抗争は昭和38年のいわゆる「村山騒動」です。

この、キーマンは二代目社長(社主)の
村山長挙という人物だ。
これが非常に面白いキャラクターなんですね。
仁義なき戦いに重ねれば金子信雄が演じた山守こと
実在の人物でいうと山村辰雄と酷似している。
また、女傑といわれた先代龍平の娘で長挙の妻藤子が
山村の妻(平野)邦香に、似てる。
山村も結婚するとき一度平野姓に入ったことがあった。
こういうのも似てる。

長挙は婿養子で村山家に入りました。
元々は旧岸和田藩藩主岡部家の子息です。

この長挙が緒方竹虎と対決するんだな。

となると、緒方竹虎菅原文太が演じた広能昌三
つまり、美能幸三ということになりますが、
これが似てる(顔がだよ。文太じゃなくて竹虎と美能さんが)。
といって、緒方竹虎を知らないか(汗)。

戦後の55年体制のベースとなる
自由党民主党保守合同を誕生させた人物です。
緒方竹虎元朝日新聞社の主筆で最大実力者だった。
その緒方に二代目の長挙が嫉妬したことが
後の朝日騒動に発展した。男の嫉妬は恐い。

緒方の盟友に美土路昌一という
戦後、全日空を創業する人物がいます。
これが小林旭が演じた
武田明こと、服部武でしょうか。

ふたりは日本の軍国主義に抗おうとして
結果的に袂をわける。
なんともドラマチックなこの展開は
まるで仁義なき戦い第四作『頂上作戦』の
雪の日の裁判所の再会を彷彿させられます。

今回のこの本のコンセプトは
新聞メディアの仁義なき戦いだったのです。だから
ブックデザインも仁義なき戦いの映画ポスターのパロディ。
だから知ってる人ならゲラゲラ笑う。
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%9F%E9%8C%B2-%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E6%B0%B4%E6%BB%B8%E4%BC%9D/dp/4062177390/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1347458554&sr=1-1
だけど、
たぶんほとんど知らないからパロディにならない(涙)。

ま、脚本家笠原和夫に対するオマージュってとこかな。

水滸伝としたのは、
好漢悪漢入り乱れた群像劇にしたかったから。
たくさんの好漢も登場します。
西村天囚内藤湖南石井光次郎が好きです。
でも、美土路が一番好き! 
悪漢もでますよ。
原田譲二とか鈴木文四郎、強烈です。
実社会のなかにこういう人間はいるんだなあ・・・
いいのもわるいのも

さて、相似の話ですが、
中国韓国の反日感情、デモはエスカレートしてますねえ。
これ、大正から昭和の歴史に酷似してるって
これまで何度も記してきました。
ゆめゆめ、同じ失敗を繰り返さないためにも
この本を読んで、ほしいと願います。

非常に危険領域にあると思う。