あかんたれブルース

継続はチカラかな

一葉の恋と桃の天然水

屠られる羊たち(9)


東大赤門のはす向かいの細い路地の先に
お寺さんがあって、ここの桜とハナミズキ
ふらふらと誘われたのはもう6年の前のこと
そこはね、樋口一葉のゆかりの地でもあった。

樋口一葉ねえ・・・『にごりえ』『たけくらべ
読んだことはないけど、反射的に題名は出る
女流作家の草分け的存在。
五千円札の肖像にも採用されました。

もっともわたしには可愛い魚屋さん、じゃなくて
可愛い岡っ引き「馬太郎御用だ!」みたいな(汗)

美人薄命
わずか二十四歳で夭折した。

そんな彼女が生涯で一人の男を愛していた
事実を知りました。
それが半井桃水(なからいとうすい)

わたしが桃水を知ったのは
初期の朝日新聞主要記者の相関図の作成中に
記者兼小説家として半井桃水をピックアップした
そのとき、樋口一葉の師匠であるというのが
みょうに引っかかんだよね。
別に下衆の勘ぐりじゃなくてさ。

ふたりの関係は子弟関係を越えることはなく
その思いは一葉の片思いというか
一人相撲というか空回りというか
そのプラトニックラブはある意味、残酷でもあった。

半井桃水の写真を見ました。
これが、また、イケメンなんだよね。
まさに美男美女のカップル。
それもあって噂にもなって嫉妬やヤッカミも
あったんだと思う。

それ以上に、一葉は自意識過剰というか
世間体というか時代の風潮に左右される
古風な奥手の女性だった、ともいえる。
ネンネ?頭固いんだな。
一方的に誤解したり絶交までしてる。

もっともそれい以上に桃水はあまりにも
堅物で紳士で、女心のわからん奴だった。
そんなことだから、一葉に師匠でありながら
小説の才能はイマイチなんて酷評もされている。

この不器用な女と不器用な男の
恋は残酷だ。
時代の呪縛といってもいい。
意地悪な言い方をすれば偏見ともいえる。

思い込みも偏見だ。

恋愛は、思い込み・・・とすれば
恋愛も偏見なのかしらん?

どうりで愛憎が表裏一体なんですね。

人間の一生、人生なんて儚いもの。
その長い短いはあまり関係ないともいう。
要はその有限のなかでどう生きたかだ。
だから、他人のわたしごときが
樋口一葉の人生をとやかくいう筋合いじゃないことは
百も承知なんですよ。なんだけど・・・つらいねえ
もしかしたら桃水との恋愛が成就したら
もっと悲しい残酷を味わったかもしれない
それでも、それでもよかったんじゃないかなあと
勝手に想う。想うだけですけどね。

命短し恋せよ乙女、おばはん、おっさん、爺に婆

信じられるものしか見ることができない
そういう夢、思いを胸に死んでいこうじゃないか。
それだけで、人は救われるってもんだと
思いますけどね
わたしは