あかんたれブルース

継続はチカラかな

フロイトから派生した3つのヒント

愛する技術という発想(16)


ちょっと小難しい話をはさみます。
すっとばしてもいいですが
どうしてもおさえで入れておきたい
うまく伏線になってくれればいいのですが(汗)

現代の精神医学の基礎をつくった
フロイトがいかに偉大かは誰しも認めることですが
同時に彼の思想がいかに古臭いかという
批判もあると思う。
彼の精神分析(たとえば夢占いなど)は
なんでもかんでもセックスに結びつける。
バットもグローブもドアも鍋も
そうなるとみんな欲求不満とコンプレックスの塊だ。

そういうわれればそうかもしれないけれど
そういわれてもねえ(汗)
現代の悩みの根源はそこにじゃない気もするし

フロイトに対する批判や不満は
彼が生きた時代(1856年~1939年)という
時代背景を差し引いて考えないと
いささか酷な感じがする。
ビクトリア朝時代(以前の)の人であり
そういう前時代の弊害と戦っていた学者だ。
それは物理学者たちが
ニュートンなどの古典物理学と戦っていように
フロイトはそれまでの社会、たとえばキリスト教
もっといえば教会の倫理マニュアルと戦っていた
といえるかもしれない。
中世という怪物と戦っていたのだ。
だからフロイトはあの時代に脚光を浴びたのだ。
先駆者だったんですね。

しかし、フロイトに対する(限界的)批判は
むしろ身内から生まれた。
それはフロイト自身が後継者の期待した
それが貴公子ユングの離反です。
ユングフロイトの考えだけではあきたらなくなり
守・破・離よろしく独自の世界に足を踏み入れていく。
それを現代人はオカルトサイエンスとして
眉をひそめるけれど
ユングの歩調は量子物理学者のそれと同じである。
決してオカルト教団がバイブルとするような
ものではないと思う。

フロイトの弟子のなかで異端児として
フロイトからも勘当され、その後(学会)社会からも
ダメだしをくらったのが
ヴィルヘルム・ライヒ(1897年~1957年)だ。
フロムと同時代の人ですね。
彼もまたフロム同様に精神分析マルクス主義
結び付けようとしましたが決して認められなかった。
身の危険から海外に亡命し
そこでライヒが研究していいたものは
性エネルギー「オルゴン」の発見とその研究です。

性的興奮には電気反応がある。
これにアインシュタインが興味をしめしましたが
アインシュタインは否定した。
結局、ライヒの生涯は不遇なものでピリオドを打つ
亡命先の米国で法廷侮辱罪として
身柄もその研究内容も封印されてしまうのです。

このオルゴンエネルギーは例えていえば
放射能的なものだという。

フロイトから出た
ユングライヒらは社会的に、時代的に
許されない認められない
正しく理解されない者たちだ。
その意味からすればフロムは新フロイト派として
まだ幸せなほうかもしれませんが
彼の学説にも時代はさほど寛容だったとはいえない。

愛されることよりも
愛すること

その意義を説く
たったこれだけのことなのに

その間、私たちの混迷はますます深まっていった。
さまざまな問題は山積みになっていくのに
そのなにひとつ効果的な解決策が打ち出せないのだ。
この「変」に気づかないか?
何かがおかしい。それは根本の誤りではないか。
無理があるんだ。だから矛盾がおきてしまう。
その矛盾のなかに利権がある。
作られた不自然な循環のなかに利権がある。

競争原理というものもそのなかにある。
だからフロムも危険思想なのかもしれない。

けれども、フロムはいう
そのままいけば人間は破滅するか発狂するしかないと。
まさに危険な話です。

しかしいまの世の中
危険がいっぱいだ。
わたしはそんな世の中よりも
太陽がいっぱいのほうがいいと思うけどね。