あかんたれブルース

継続はチカラかな

フロムとの正しい向き合い方

愛する技術という発想(24)


ルイちゃんがフロム熱に浮かされている。
この無謀な行動はまるでモグラか墓泥棒のようで
ちいさな脳味噌と知識でガブリヨツ
少々オーバーヒート気味のようです(笑)

読めば読むほどコンガラガッテくるそうな
そこでフロムを読み解くにあたって
三つの注意すべき点をあげてみた。

ひとつは、彼が生きた時代性(時代背景)というもの
1900年生まれのフロムと私たちとは
半世紀以上のギャップがあります。
フロムは(第二次世界大戦)戦前の人で
それ以前の旧体制やファシズムの台頭を知っている。

この時代のなかで、旧体制打破としてフロイト
マルクスの行動は輝いてみえたと思う。
なによりも、ファシズムの崩壊を目の当たりにした。
ソ連崩壊は目の当たりにはしなかったかも)

ふたつめは彼がドイツ人であること。
この正統なアングロサクソンの思考法というか
合理主義は他民族を寄せ付けない。
同じアングロサクソン流れを汲むという
アメリカ人とは江戸っ子と在日外国人のように
異質なものです。
なんにしても(心理・精神医学)学者ですから
その論法は理論と論理を積み重ねた
理屈の左官屋さんのようだ。
ときどき「おっさんそうはいかんだろう!」
とツッコミを入れたくなるときがタタある。

みっつめは彼がユダヤ人であること。
これがまた彼の思想を決定付ける要素だと思う。
人間の自立とか孤立性に関しては
ここから発している。
それは彼の心の師であるスピノザにしても同じだし
フロイトにしても同じ。

わたしは現代の社会の歪のはじめの一歩を
産業革命であるとしましたが
それ以前にあると遡れば、キリスト教
ローマ帝国の国教となったことだと考える。
それは同時に教会の(権威)支配であり
これが中世という時代そのものだと思う。
フロイトなどが打破したかったのは
こういった教会的な旧体制だったんだと。

こういった時代環境のなかからフロムは生まれた。
愛されることよりも愛すること・・・
この発想は人類史上もっともインパクトのある
アドバイスだと思う。
しかし、彼の師匠フロイトが十全ではなかったように
フロムもまたそうではない。
それは決してフロムが誤っているとかではなく
そういうものは時代時代を経て
私たち新しい世代が受け継いで、よく咀嚼し
整理し、その考えと時代が歩調を合わせる時まで
保全(補足補強)して
おかなければならないと思うのです。

現代の日本人の悪い思考癖のなかに
一点でも矛盾や気に食わないことがあると
それですべてご破算にしてしまう
白黒二元論があります。
まあこれは真理(原理原則正義正論)は
一点の矛盾があってはならない
との考えからきているのかもしれませんが
多少というか大いに子供じみた発想だ。
フロムの考えは真理とかではなく
ひとつの優れた学説です。
残念なことですが、これに勝るものはなく
今現在のこの世の矛盾や問題は
それ以下の劣悪な思想が原因していることに
ほかならないのだ。

ま、そういうわけで
これ以降もフロムの考えに沿って
あれこれ話をすすめていきますが
決してフロムが絶対ではないこだけは
肝に免じておいてくださいね。
私たちは21世紀に生きる日本人であって
欧米(キリスト教)思想には感化されたかもしれない
けれどもまったく異質な民族だからだ。
この東西の異質な文化の融合から
新しい現実的なアイデアが生まれるんだと思います。