あかんたれブルース

継続はチカラかな

誠実な未熟さ

愛する技術という発想(51)
中島みゆきは知っている [糸]


みゆき嬢でも自信をなくすことがあるんだね。
そんな彼女を山崎ハコが慰めた。
お互いがんばろうよと勇気づけられた。
戦友なんだな
ところが
http://www.youtube.com/watch?v=qXFrxGqSwBY

いえない中島みゆき
ハコには慰められたのに
自分は言えない
しょうがないよね。立場が違う。
いろいろな意味で言いづらい立場にある。
でもね、それだけじゃなくて
みゆき嬢は言えない自分を責めている。

彼女はそういう立場や条件を越えて
ちゃんと言える自分でありたいと思っている。
それができない自分に歯痒さがあるんだね。
あれほどの知性を有しても
できいな。
そういう不器用というかシャイというか
弱さ自信のなさがあるんだ。

ちゃんと言いたいのに
「お前バカだなああ」とか脳天気に
けらけらと、そんなふうにしか
自分を表現できない
また下手な芝居をうっている
自分を責めている。
素直に自分を表現できないことを。

中島みゆきは弱者ではない。
彼女に対して「もう来なくいいから」と
マナーを欠くプロデューサーもディレクターも
いないでしょう。いたらクビだね。
中島みゆきは知っている。

その無礼な担当者も言わされたってことを
そして、言えなかったんだ。
だから無礼を演じたってことを
割り切ることで自分を納得させたってことを。
嫌な役目を押し付けられたと
自分が悪いんじゃない
世の中は仕事はプロの世界は、厳しいんだ
と言い聞かせて。

もしかするとみゆき嬢は
その礼儀知らずと言えない自分を重ねて
いるのかもしれません。多少はね

しかしニッポン放送もびっくりじたでしょう。
強者的立場にある彼女の鉄槌に。
もしかしたらこの無礼な担当者は
同じ担当者でスタジオにいたかもしれない
たとえそうじゃなくて
社内的にこれは大問題だね。
天下の中島みゆきに睨まれたわけだ。
だけじゃなくて彼女の声を通して
全国のリスナー
オールナイトニッポンのファンに訴えられた。
始末書どころじゃすまないかもよ
左遷か下手したらクビかもよ
だけでなく会社の責任も問われるわな。
そんなことはどうでもいい。
彼女は怒ったんだ。

中島みゆきは知っている。
それでも、彼女は言えない自分を責めている。
友に悪いなあと悔いている恥じている
それが彼女の自信のなさのわけだ。
中島みゆきは知っている。
いえないんだよね、それでも
いつか
それがいえる自分になりたいと願っている。
未熟ではあるけれど誠実な人だと思う。

フロムの「愛するという技術」には
こういうのもあるよね。
中島みゆきは知っている。

中島みゆき「糸」
http://www.youtube.com/watch?v=2JdfKWLFohs