あかんたれブルース

継続はチカラかな

いねむり病の愛しきものたち

クサンビッチの昼行灯の巻


阿佐田哲也の持病とはナルコレプシーという
睡眠障害(脳障害)、いわゆる精神疾患である。
発症はアウトローの世界から足を洗ってからだと
いうが、真っ当な世界に戻ったはずなのに
変な話だね。

と、最後のアウトロー作家といわれた中島らも
この人もナルコレプシーを病んでいたという。
その下地には鬱病アルコール依存症、薬物乱用が
あったといいます。
中島らもといってももう知らない人が多いのかなあ
ガダラの豚』『今夜すべてのバーで』などなど
その作風は変幻自在の抱腹絶倒そして沁みる
わたしなんか大好物の作家でした。
野坂昭如をして「なぜ中島らも直木賞を与えない!」
といわしめたが、結局受賞はしていない。
『心が雨漏りする日には』
らもは双極性障害でもあった。

赤目四十八瀧心中未遂』で車谷長吉
平成10年上半期に直木賞している。
因みにこの年の下半期受賞は宮部みゆき
たまたまこの『赤目四十八瀧心中未遂』は読んだ。
魔性と刺青と薄幸に染まった女
こういうの大好きです。が、読後の感想は、
これで直木賞かいな?
というのが正直なわたしの感想。
芥川賞だったらわかるけど、こう「キンタマ」を連発
しちゃあ無理か(笑)
だから後に映画化さえれてもまったく興味をひかない。

ところで、元週刊プレイボーイ編集者春日原浩は
ひょんなことから車谷と
学生時代からの知り合いで
長く共同生活をいした間柄だったという。
この春日原、通称「ブーちゃん」は
阿佐田哲也のお弟子さんだ。
編集者にもアウトローがいた時代があった。

社会人になってある日、車谷から
阿佐田哲也を紹介してほしいと頼まれたことがあった。
車谷の直情的で直線的な性質を知っていて
やや躊躇もしたけれど、阿佐田に断りをいれて
紹介したという。

「いいですよ」いつもの阿佐田さんらしい
鷹揚な返事・・・
しかしそのなかに困惑の匂いを
ブーちゃんは感じたといいます。

はたして、その困惑は的中したようで
阿佐田さんの『ギャンブル人生論』のなかに
無遠慮で強引な若い夜の訪問者を
家にあげてしまったことを後悔する阿佐田哲也がいた。

この自称「強迫神経症作家」は
直木賞受賞に際して、芥川賞の屈辱と雄叫びをあげ
細君には「俺は一か八かの勝負師だ」とか言ってるとか
よくいるよね(笑)、最近の失笑作家たち。

ブーちゃん曰く
阿佐田さんにいわせれば
「勝負師は誰も愛さず、誰からも愛されない」
その意味でいえば、車谷は阿佐田さんの薫陶を受けた
弟子だったんだろうと。
このお弟子も優しい。

そして、
強迫神経症作家とナルコレプシー
どっちが愛されるかは明白であると。

中島みゆきをボーダー(境界性人格障害)として、
それじゃあ玉置浩二も障害あるよなあと
思う馬太郎、いやウマタロス(汗)

才能と障害、人格、品性、感受性・・・
障害ってなんだろうねえ

太宰治もボーダーで玉川上水に情死した。
中島らも桂枝雀も自殺して逝った。
太宰は「文化」という言葉に「はにかみ」と
ルビをうった。
それ、頷けるよなあ。恥じらいとしてもいいよね。

文化の廃退と勝負師の雄叫び

勝負師とかアウトローなんて言葉では語れない。
そんな言葉で語らないでおくれ。
人一倍シャイではにかみ屋さんの
阿佐田哲也を愛おしく思う。

今夜すべてのバーで
心優しき彼らに乾杯したい。
愛しきものたちよ、ありがとう。

メロディー 玉置浩二
https://www.youtube.com/watch?v=n8GA7XdvFxw

そういう酒場があったら
クサンビッチ
お前を誘って飲みにいってもいいかな

こら、寝るな!