あかんたれブルース

継続はチカラかな

ヒミツのあっここですか

分福もののけ漫遊記(7)


翌日、和氏の璧を抱えて杜子坊は再び鄭和
訪ねました。
「はやいねえ、でどうだった?」
「それがそのおお」
「なんだ偽物だったのか」
「いや多分本物だと思うんですが」
「呪いが解けなかったのかい」
「まあそういうわけで・・・
 さすっても頬ずりしても
 抱きしめても転がしても玉乗りしても
 舐めてもまったく変化が起きません」
「分福ちゃんは?」
「イジケテ、フテ寝してます」
「あらら傷ついちゃったんだね」
「こんなことならあの酢豚と悔しがって」
「それじゃあねえ呪いもへったくれもないなあ」
「でもなんでですかねえ」
「う~ん、分福ちゃんの呪いには
 もっと別の意味があるんじゃないか?」
「というと?」
「いや私にもよくわからんけど
 たとえば、天命とか」
「天命・・・」
「分福ちゃんは天から何か使命を与えられた
 とも考えられはしないか」
「あの狸がねえ・・・」

庭の獅子脅しがぽっかーん

「ところで、鄭和さんの西方大航海の目的は
 建文帝や陳友諒の残党狩りなど諸説ありますが
 本当のところはなんなんですか?」
「今週の『春秋時代』だな」
朝貢外交政策とかそれに伴う貿易振興なんて説も
 ありますが、なんか説得力に欠ける気がします。
 それでは費用対効果があわない」
「ま、お察しの通りだね」
「というと?」
「なかには私がイスラム教徒だから聖地の巡礼を
 なんていうものいるけれど、そんなの
 一回行けば十分さ。お伊勢参りじゃないんだ
 航海は命がけだからねえ」
「政府は何考えているんですか?」

「最近巷では呪いが大流行だよな」
「ええ、それで呪い治療院が大盛況です」
「薬で治すってことで、仙人なんて御用済みか」
「彼らは商売だと思ってやたら薬を処方します」
「その薬どこから流れてると思う?」
「えっ、どこからって」
「原産地は中東のアヘンだぜ」
「阿片ですか!」
「脳が原因だからそれをちょっと麻痺れば
 治療できると考えられた。
 ま、使い方によるけれど毒も薬だわな」
「それを中東から輸入していると」
「こんなんじゃ国は滅びるね」
「いいんですか」
「私が反対してもどうにもならないさ。
 金玉の次は首斬られるてお仕舞い。
 また誰か代わりがやるんだろう」
「そんなあ・・・」
「私は宦官なんだぞ。奴隷なの。
 それにイスラム教徒の異民族だ。
 こんな国、別にどうなったって知らないよ
 これじゃあ消費税上げようがどうしようが
 どうにもならないよ。
 私は知りません」

鄭和さんはさっき
 天命という言葉を使われた。
 あなたの天命とはなんですか」
「えええっ、急にそんなこといわれてもなあ
 なんだろう? なんだと思う?」
鄭和さん、僕にいいアイデアがあります。
 ちょっとお耳を拝借」
「なに? いやんこそばい(汗)
 息をふきかけんといて」
「真面目に聞いてください!」
「で、それから」
「こちょこちょ」
「いやんばっかーん」

夜は更けていく・・・続く