あかんたれブルース

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分福もののけ漫遊記(21)


「お師匠さんに会いに行こう」

そういって杜子坊は立ち上がった。
「どうしたでござる急に」
「このままじゃ埒があかない。
 お師匠さんのところに相談に行こう」
「どこにおるのん?」
「斉の国の青島」
「ピンパオ?」
「相談って、ワテらはタイムスリップして
 何百年も未来に来てるんやろ。
 杜子坊は自由に過去に戻れるんかいな?」
「いやそれは無理だけどそんなことできなくても
 大丈夫さ。お師匠は仙人だから不老不死なんだ」
「永遠の命かいな。
 ええなあアンチエージングやないか」
「パンピペーピンプ?」

そいうわけで杜子坊と分福と権耳は
山東の青島に向かった。
今度も土遁と水遁を使って、はいここが青島。
ここは辺鄙な港町。
お師匠様の住所は青島港町17番地三島荘2号室
「こん住所あてになるんかいな」
「まあとにかく行ってみようよ」
「なんにもないでえ」
「このへんなんだけどなあ」
「お師匠さんはなんて名前?」
「徐福とおっしゃられる方で1000年ぐらい
 生きておられんじゃないかな」
「千年!」
始皇帝に仕えていたっていうもの」
「仙人ってすごでござるなあ。
 なんで杜子坊は仙人になるのをやめたでござる」
「いろいろあるけど、まあその不老不死って
 いうのがね。どうも嫌でさ」
「なんででござる。永遠の命でござるよ」
「僕にはそれがそんなにいいものには思えないんだ」
「そんなもんかいなあ。ま、とにかく
 その徐福さんとやらを呼んでみよやないの」
というと分福は大きな声でその名を叫んだ。

「徐福さ~ん、書留で~す」

「は~い」という声が目の前の土塀から聞こえる。
「何これ、貝塚?蟻塚?古墳かいな?
 地層がむき出しの・・・竪穴式住居やな」
そこから小汚いオヤジが出てきました。
「お師匠様!」
「なんだ誰かと思えば杜子坊ではないか?」
「ご無沙汰しておりました。お師匠様も息災で」
「仙人をやめたお主がなんで不老長寿の術を
 身につけたのだね」
「いや実はカクカクシカジカでありまして」

「なんとこの狸が・・・」
「失礼な。このホームレス仙人が」
「こら分福、声に出すなよ(涙)」
「ま、立ち話もなんだ。奥へ入りなさい」

三人は徐福の庵、穴倉に通された。