スミシーの末裔たち
「馬太郎、あなたはオンナ心がわかっていない」
そうい言われて49年7月。
昨日の記事はここに繋げます。
映画『心の旅路』(1942)はオンナ心のわからない男の話、さ。
第一次世界大戦の末期、スミシーはフランス戦線で記憶を失い
英国中部の精神病院にいた。
オンナ心どころか自分が誰なのかもわからない(汗)。
喪失感に打ちのめされて彼は病院を脱走して町に逃れます。
そこで美しい踊り子の女性・ポーラと出逢う。
ポーラは精神病院の追っ手からスミシーを守るように、
彼と共に街を後にします。行く先はこの世の果て、美しい寂しい場所。
そこで二人は恋に堕ちて、結婚して、男の子が誕生する。
スミシーは作家として第二の人生を歩みはじめた。
その原稿が新聞社に認められ、終身契約に幼子と愛する妻を残して
リバプールに向かう、のだが・・・
メロドラマの巨匠マーヴィン・ルロイがメロメロの珠玉でわたしメロメロ(汗)。
あんまり期待してなかったんですが、泣けます!
スミシーはリバプールの交差点で事故に遭って、再び記憶喪失。
今度は直近の3年間の記憶を失った。しょうのない奴です。
取り戻した記憶で実家に帰ると、かれはボンボンなんですね。
そして、家業を継いで実業界のプリンスとなる。
お〜い、作家の夢は?愛する妻子はどうすんのお(涙)。
なんたって、根がボーッとしてますからね、演じるのはロナルド・コールマン。
彼に一目惚れした姪っ子と結婚寸前までいく、
それに心を痛める彼の秘書。な、なんとポーラじゃないか!
新聞記事で彼の写真を見て、3年前に秘書として採用されてたあ? 聞いてないぞ!
なんたってスミシーはオンナ心がわかりませんからね。
この作品は悪い人がいない。
そしてスミシーの優しさが彼女たちを傷つける。
おお、ポーラ。なぜ、彼に真実を告げないの?
えっ、子供は病気で亡くした・・・おお、ポーラ(涙)。
彼女は有能な秘書として、スミシーが記憶を取り戻すの待っている。
なんたる健気、ホントのイギリス人かあ?
姪っ子との結婚に踏ん切りがつかない優柔不断なスミシーでしたが、
婚約破棄してから、ポーラに契約結婚を迫ります。
おお、スミシー。君の求める愛する女性は目の前にいるっていうのに、なんてこったい(ポパイ風)。
おお、ポーラ。最愛の夫から求婚されたのに、なんて複雑なの。なんて残酷なの。
お互いに愛し合っているのに、
失われた記憶が二人の壁になり影をおとす。
まっ、記憶喪失でなくても、オンナ心はわからないものです。
ましてや、自分なんて見失うのは日常茶飯事。
昨日の昼飯に何を食べたかが、思い出さない(汗)。
えっ、話の続き? 後はDVDでどうぞ。いいよ古典は古典なりに(笑)。
では、また来週。
いやあ、オンナ心って、ほんとに、わからない ものですね。
女性たちよ、漢を育てておくれ(涙)。其の四
もしくは『マルタの鷹』(3)または「走れメロス」(太宰治)もしくは『心の旅路』
ストライキ収拾に訪れた町は、スミシーが病院から脱走した逃れの町だった。
記憶に残る煙草屋、そういえばあの酒場。そしてあの精神病院に立ち戻って、
スミシーは自分の微かな記憶を取り戻す糸口を見つけます。
ポケットにはある懐かしい我が家の「鍵」で記憶の扉を開ける。
そのとき、彼の背後には旅だったはずのポーラがいるではないか!
おお、ポーラが泣いている。
「スミシー」
ふり返るオンナ心のわからない唐変木が言った。
「ポーラ」
不覚にも泣けるメロドラマの名作。
そして、オンナ心の考察に、是非。