あかんたれブルース

継続はチカラかな

君がいた夏祭り2



翌日も祭りは続く
なんたって四日連続の長丁場だもんね。
そして今日は中盤のメイン仮想大会だ。

それにしても暑いね。

こんな暑いのに中には着ぐるみきてる人も。
きっとバイトかなんかじゃないかな。
そんななかでお寺の裏庭の影でドラえもん
着ぐるみ着た人がフーフーいって腰をおろしてる。
この暑さだもん30分が限界だよね。

被りものだけとって汗拭いている。
若い娘だ。
茶髪のストレートヘア・・・
小麦色に焼けた、コケティッシュって形容は
きっと彼女のためにあるんじゃないか。
名前は・・・きっと「渚」だな、絶対。

「お揃いですね」
「えっ?」
「いや君の着ぐるみの青と
 僕の制服の色が、さ」
「ははは、でもこっちは蒸し風呂みたいですよ」
「大変だねぇ。学生さん?バイトかなんか?」
「半分は正解。ボランティアなんです」
「そうなんだ」
「子供たちが歓ぶんですよ」
「そうかあ、偉いんだね。じゃあお互いガンバロウ」
「ありがとうございます」

わたしはまた雑踏のなかで整理にあたった。

盆踊りは9時で終わります。
あらかた仕事を終えて詰め所に戻ろうとすると
さっきの本堂の裏でさっきのドラえもん
へたっているではないか。
それを水銀灯がまるでスポットライトのように
照らしている。
夏虫がその周りを飛び回ってキラキラさせている。

わたしは近くの自販機でアイスコーヒーを買って
彼女に歩み寄り、腰をかがめて
「ご苦労さん、暑かったね」と

ドラえもんはじっとわたしを見つめて
なにか言おうとしましたが
ためらって
着ぐるみの被りものを・・・とった。

そこにいたのは、忍じゃない。
オヤジだった。
しかもハゲてる。バーコードのような毛が
びっしょり濡れて頭皮にくっついている。
茫然自失のわたし。
オヤジは怪訝な顔でわたしを見つめ
警戒しながらもわたいの差し出した缶コーヒーを
受け取ると「どうも」といって
缶をぷしゅっと開けてグビグビ飲んだ。
喉仏がごくごく動いて音がでる。
とてもコケティッシュじゃない。
コケの生えたティッシュだ。

わたしは思わず立ち上がり天を見上げて叫んだ

忍、渚、みんなどこにいった
ツバメよ高い空かから教えてよ
地上の星