あかんたれブルース

継続はチカラかな

風化してしまったヒーロー像



結局昨夜はほとんど眠れなかった。
四人部屋で隣の爺さんのイビキがヒドイんだ。
ただのイビキじゃない。
呼吸困難になるみたいで突然ゲホピと破裂する。
シーンと静まり返った病室で油断も隙もない
もうびっくりモードだよ(涙)
で、それにくわえて向かいの爺さんが
昨夜はなんだか一晩中うんうんうなされてるし
それがなんとも苦しそうというよりも
せつなさそうみたいな
で、双方どたばたトイレにいったり電気着けて
なんか食ったり洟かんだり
くしゃみしたり屁こいたり
斜向かいの爺さんはいるのかいないのか
まったく静かなんですけどね・・・
死んでたりして(汗)
そんなこんなでまったく眠れない。

開き直ってPC開いて映画観てました。
入院以来わたしは勝新祭です。
勝新太郎といえば日本を代表する俳優だね。
人気シリーズは
座頭市と悪名の朝吉、兵隊やくざの大宮二等兵だ。
なんと勝新太郎は人気看板を三枚ももってたわけだ。

昨夜観てたのは『続新悪名』
って変なタイトルだねえ。
つまりこの前に「続」があって「新」があって
この作品は四本目ということ。
なんか信州の庄屋太郎次郎三郎みたいだね。
続→新という法則ですから
夕陽のガンマンも寅さんもそれに従ってる。

この悪名シリーズは痛快娯楽活劇ですが
主人公の朝吉は刃物とか銃とか使わない。
素手のゲンコで悪人をボコボコにする。
劇中の河内音頭とキレのいい河内弁の啖呵が
たまらないのである。
原作は今東光の『河内風土記
つまりノンフィクションなのだ!
というわけで八尾の朝吉親分は実在の人物
ということになるのだ!
大阪の八尾といえばほぼ中央だよ。
昭和30年代の日本人ってこうだったんだ
と驚愕するようなお話が満載なのですが
そのなかでも朝吉は特筆だったんでしょうね。
原作からピックアップされて映画化され
勝新によって演じられシリーズ化となったわけだ。

三丁目世代の我々にはこういうキャラは
特異ではなかった。
座頭市も朝吉も大宮も、それなりにリアリティが
あったのですが、今の世代は信じないだろうね。
世の中がほんと変わってしまったんだと思う。

つまり悪いのは昔からいたんだ。
それに対して非を鳴らす番長もいたんだな。
それがいなくなってしまった。
それが先日の卑怯者の正論で書いた
(『座頭市海を渡る』での庄屋の平和思想)
「暴力じゃ何も解決しませんよ」だった。
冷水を浴びせられたよ。

この思想、教育が、番長を朝吉を大宮の芽を摘んだ。
その理不尽に少年達の目は歳をとり
セコイ連中はほくそ笑む、わけだよね。

仲代達矢じゃだめなんだ。
勝新じゃなければ
芸術じゃだめなんだ。
痛快娯楽でなければ
刃物でもなくピストルでもなく
拳骨だよ拳固。

それで成立した時代があった。