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悪妻「貞子」の素性

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明治イイ女列伝(番外)もう一人の貞子


 平民宰相と謂われ、悪妻と引き替えに宰相の座を獲た原敬
 (でも平民と云っても彼は南部藩(盛岡)の家老の息子ですから結構プライドの高い人)
 明治という時代が彼を平民にしたようです。

 人生の幸運とは邂逅によって「引き立て」にあると言われます。
 原を引き立てたは陸奥宗光ですが、もうひとり、

 井上馨という長州閥の大ボスがおりました。

 この娘の貞子を原は妻とします。これが、もの凄いワガママ娘だったわけであります。

 で、この貞子とは何ものか? (井上の娘でしょ。そう言ったじゃない)

 私の友人(三好)徹は違うと言います。
 私の友人(小島)直記はそうだと言ってます。

 どっち? 私は三好説をとります。彼女の父親は旧薩摩藩士・中井弘ですね。

 この中井という男。不思議な男でして、明治維新にかけて
 ある者は宇和島藩士・中井弘蔵であるといいます。
 ある者は薩摩藩脱藩の横山休乃進であると申します。
 ある者は田中幸助と名乗った宇和島藩士だと証言すれば
 また、ある者は土佐の後藤休二郎だとも言う。いったいこの人?誰?

 中井弘は薩摩藩の脱藩者ですが、以上のすべての証言は事実です。
 これが彼の脱藩から明治維新までもプロフィールなのですね。

 この中井が元祖一人一党の志士として奔走中に新橋芸者・雪葉と恋に堕ちます。
 彼女は上州の士族・新田満次郎の娘で本名をタケ(武子)と申します。
 この二人の間に生まれるのが「貞子」なんですね。

 中井はその後、脱藩者に対しての戸籍法制定によって鹿児島に帰らなければならない。
 彼は西郷・大久保派とは別で島津久光に近かったことから死を覚悟して帰郷するのですが、
 武子を伴って帰るわけにはいかない。

 そこで、大隈重信夫妻に彼女を預けるのでした。

 それに手をつけたのが井上馨だ(涙)。

 出来てしまったものはショウがない。中井も生きては帰ってこないだろうからと、、、。
 結婚式の当日。中井が帰ってきたんですね。

 ただいま~あ!なに?お祝い事?

 すったもんだはあったのですが、中井は井上に武子を生涯大切にするように一筆入れさせて、
 身を引いた。というお話。

 で、すでに武子が身籠もっていて生んだのが貞子です。

 父の中井弘はとんでもない破天荒男でしたからね。そりゃワガママ娘にもなります。
 また、原敬大隈重信を嫌っていたというのも面白い。
 原敬は井上との姻戚関係によって政治家としての地位を確保し、最終的には宰相になる男です。

 でも、貞子のあまりの悪妻ぶりに根を挙げて離縁してしまいます。

 そして、東京駅で暗殺されてしまうんですね。
 貞子はワガママな女神様だったのか?


写真は原敬。その暗殺の真相はいまだ謎が多い。
以上、国立国会図書館から