あかんたれブルース

継続はチカラかな

「暴力団」対「横井英樹」

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 戦後の愚連隊から渋谷を縄張りにていた安藤組(東興業)はれっきとした「暴力団」です。

 組長(社長)の安藤昇は生学ヤクザの代表格で法政大学出身。
 予科練から海軍の特攻部隊「回天」で華々しくお国の為に散るはずが終戦となり、
 希望を失って修羅の群に入った人物です。
 博徒でもテキ屋でもない安藤組(東興業)には六大学東都大学の出身者が多かったようです。

 この安藤組の全盛期にひとつの相談事が舞い込みます。

 旧華族の蜂須賀家が横井英樹に金を貸したが返してくれなくて困っている。

 蜂須賀家とは豊臣秀吉の片腕だった小六の末裔で長く淡路島の殿様でしたが、
 明治になって廃藩置県となって事業で成功した数少ない華族です。
 相馬事件の中村藩と蜂須賀家ぐらいじゃないですか?
 昭和になっても資産家だったわけです。それが貧窮するから大した問題だったんでしょう。

 横井英樹は御存知ですよね。
 「ホテルニュージャパン火災事件」が強烈ですが株買い占めの乗っ取りやでも有名です。
 とにかく評判のよくない拝金主義者の代表格。
 此奴のボスは東急の五島慶太。通称「強盗慶太」と謂われた人物ですね。
 事業家といっても大小ふくめて悪辣辣腕の方々も沢山いますよ。
 「ピストル堤」の異名は西武の堤さんの先代ですし、小佐野賢治なんていましたよね。
 戦後の徒花のような感じです。

 横井英樹は昭和25年に蜂須賀元侯爵から現金3000万円を年利20%で借ります。
 その後、1000万円は返却しますが、残りを返しません。
 困った未亡人は裁判に訴えて勝訴。それでも横井は返さない。一銭も。
 窮した夫人は元三井物産の元山高雄取締役に相談しますが埒があかない。
 で、元山氏から相談を受けたのが安藤昇だったのです。

 安藤昇が交渉にいきました。ところが、横井はこう嘯く。

 「なんなら君たちにも金を借りて返さない方法を教えてやろうか」とか
 
 「私のところでは借金とりにまでコーヒーを出すんだからね」だってさ。

 これが横井英樹なんです。
 城山三郎の作品にも彼を主人公にしたものがありますよ。とにかく非道い。

 さて、怒った安藤昇横井英樹襲撃事件を起こします。一応殺すなと注文をつけたとか。

 この事件によって、安藤組は解散に追いやられます。

 暴力は反対だから仕方ないですか? 日本は本当に法治国家なの?放置じゃない?
 このとき横井を殺していればホテルニュージャパンの惨劇もなかったかも。あれは人災でしょ。

 安藤の服役中に弱肉強食とばかりに安藤組は他団体から集中攻撃を受けます。
 『疵』で有名な花形敬や西原健吾が殺害され、安藤は東興業を解散。
 その後、役者になります。菅原文太も居候してました。関係ないですね(笑)。
 松竹から東映に移って『実録・安藤組』なんて自ら主演していたりします。
 その「襲撃編」は勿論、横井英樹襲撃事件をテーマにしたもはご愛敬(笑)。
 めちゃくちゃ演技下手ですが凄味は天下一品でしたね。
 『新仁義なき戦い』で広島の岡村組長を演じてたっけ。。。

 さて、安藤昇横井英樹、どっちが正しい。