あかんたれブルース

継続はチカラかな

そこまで気に病む本質って、何よ?

ナキトの事情(4)乃木=希典=ナキト 

 そうこうしているうちに明治の内乱の最終局面「西南戦争」が勃発。

 乃木は連隊長(心得)で第十四連隊を率いて熊本城を目指します。

 ここで、敵の西郷軍の猛攻に曝されて連隊は支離滅裂で四散!
 その混乱のなかで連隊旗を見失ってしまいます。(西郷軍に奪われる)

 この事実を知った乃木は相当に焦った。頭が真っ白

 再び、戦場に出て重傷。再度病院から抜け出してまた重傷。
 それでもどうにもならない。

 乃木の異常に気づいたのは熊本城鎮台参謀・児玉源太郎(少佐)でした。
 児玉は乃木より3歳年下ですが、とても仲がよかったんです。
 親友の乃木がなんかノイローゼみたいだと感じた児玉は彼を参謀付きにして進言して
 部下の西島助義(日露の時は旅団長から第二師団長)と監視していたんですね。

 そんなある晩、「おい、西島。なにか変な感じじゃない?」と、乃木の部屋に飛び込んだ!

 その時、まさに、乃木希典は割腹自殺を試みて腹に刀を当てている!

 「待て、待て待て待て待て待て待て待て、待て乃木よ」児玉の必死の説得が始まります。

 でも、きかな。

 頑固なんだな~あ。これが。

 それでも児玉は根気よく諭します。根負けさせてしまう。(西島君の証言ですよ。
 そして、力無くうなだれる乃木は、、、。ようやくうなずき、

 「いつか、このために、必ず死ぬだろう。そのときは、許してくれ」

 とまだ言っている。気の短い私なら勝手にしろ!というところですよ。馬鹿馬鹿しい。
 何時だと思っているんだ(怒)。まったく人騒がせな男だよ。と、ね。
 でも、児玉は違う。うんうん、と、うなずいてさ。こう言うんだな(涙)。

 「よし、分かった。
  しかし、乃木よ。独りで死ぬなよ。
  独りで死ぬことは許さない。
  その時は、必ず俺に知らせろ」

 現場にいた西島君が証人となって二人の約束は結ばれました。
 このことを西島君は固く口止めされてね。これが明かされるのは乃木の通夜のときです。

 これより27年後
 この約束があったから、旅順に児玉は向かうんですね。
 「このままでは乃木が死ぬ」と児玉は呟いて
 総司令部から大連行きの列車に乗るんだ。泣かせる。もう朝っぱらからボロボロ。。。
 児玉最高!

 ところが、この約束の数日後
 また乃木は失踪行方不明。どっかの山中で断食自殺かなんかやろうとしてたってさ。(けっ
 まったく。

 ここで、乃木の軍旗喪失事件について。

 この頃は軍旗というものに「天皇陛下のなんちゃらが」という発想はそうなかった。
 だって、明治10年の話ですよ。みなさんは10年前は何してました?
 彼らは丁髷で明治政府じゃなくて各独立自治体国家の藩と藩主に忠誠を誓っていたんですよ。

 当然、明治になって、それは天皇に集約はされていきます。
 しかし、大東亜戦争の頃の精神論はまだ出来上がっていません。

 だから、みんな乃木の行動に戸惑った。むしろ連隊が四散したことの方が問題だよね。
 で、それを強烈に糾弾したのが山県有朋。で、それが功を奏して乃木は無罪。
 逆に昇進したりする。それまた逆に児玉が左遷というか責任を負わされたりする。
 変なの。。。

 軍旗に魂が込められているとの考えのスタートは乃木希典から、としてもいいね。
 この男、何を考えていたのか?

 いいですか。みなさん。
 明治という時代は「文明開化」の時代であり、
 日本は欧米の「合理主義」を取り入れた時代なんですよ。

 戦前の精神主義なんていうのはそれとは別。そのポイントは

 日露戦争の勝利であり、旅順の肉弾攻撃から。
 そして、乃木の殉死から。

 はて?みんな乃木が関わっているじゃないか???(汗)