あかんたれブルース

継続はチカラかな

悲しき情念

 羽田空港の搭乗窓口

 手荷物検査のあと一歩前に進んで金属反応があったらしい。

 双方に少しだけの緊張感が奔ります。少しだけね。

 原因は私のポケットから出てきた3個のライターでした。

 係員の話では「機内持ち込みは2個まで」

 1個を廃棄処分とのこと

 どうせ、煙草の景品です。さほどの未練もない。

 幸せにおなり佳子。もう回り道をしちゃいけないよ。

 佳子という小さなライターが係員のシルクハットの中に消えていきます。

 鳩は出ません。

 ふり返ることなく6番搭乗口に向かう私。

 ふと、今春の北京空港での風景が胸をかすめます。

 二人の中国人が手荷物検査の前で、琥珀の瓶を両手に抱えて祈りを捧げてる。ような。。。
 いやいや、よくみれば、蜂蜜の瓶を飲み干そうとしています。
 二人の足下には既に空になった瓶が一つずつ二つ。ある。

 彼らは既に、二本目にチャレンジしているんですね。
 機内に持ち込める蜂蜜の上限にこの二本は除外されたようです。

 二人はどうしても二本目を飲み干すことが出来ず、
 恨めしそうにその半分入った蜂蜜の瓶をふり返りふり返り
 その場を去って行きました。



 隣人よ、
 その蜂蜜は純正か?