あかんたれブルース

継続はチカラかな

許してとうちゃん

父の書棚(2)


松本清張の短編で読んだのは
『駅路』という作品でした。
ごく平凡な男が実は家族にも誰にも知られず
もうひとつの顔と家庭をもっているという話。
中坊だった自分には
何か得体の知れない大人の世界だった。
砂の器』を映画で観る以前の話です。

乱歩は『陰獣』とか『屋根裏の散歩者』が
結構ショッキングでした。

かといって、清張にも乱歩にも
高校時代に流行った横溝正史にも
はまらなかったったなあ。

ほかにソ連の宇宙飛行士なんかの本も
いくつかあった。
樺太航路でソ連領によくいってた名残りでしょうか。
その横に英会話の教材があった。
父はもっと上の免許を取りたかったのです。
それには英語が必須だった。

しかし、英語の壁は厚く高かったようです。

その教材はカセットブックで
何本かのカセットが入っていた。
当時は結構高価な商品だったと思いますよ。

挫折した父は、わたしにも強要した。
それでわたしも何度か聞いたと思いますが
まったく興味をひかない。
そして、まったく違うことを思いついた。

そういった市販録音テープはツメを折って
上書きできないようにしてある。
そのツメの穴に新聞紙を小さくちぎって詰めると
上書き録音できるんだなあ。

ビデオなんてない時代です。
で、録音しました。
土曜の洋画劇場で『大脱走』の前編後編
カセット4本ぶん使ったのかなあ?

おかげでいまでも台詞そらでいえます。

「俺たちのせいで前線行きか」

「君は運がいいぞ」

「・・・何人だ?」

「五十名だ」

「・・・」

「ベルリンに行くのは
 君のほうが先になりそうだな」

エンディングテーマ



あとで親父怒られた(汗)