あかんたれブルース

継続はチカラかな

少数派に包囲されていく健全な市民とやら



先週だったかのNHKクローズアップ現代
戸籍のない人々を特集していた。
これは以前にやった続編のようで
前回の放送から「私も」「私も」と投書があって
なんと1200人を超えたそうな。
実際にはその倍以上はいるのではないかと
番組で分析していました。

原因の多くは、夫のDVから逃れた女性が
再婚して出来た子供達なのだそうです。
ここに法律の大きなハードルがあって
(例えば前夫の承認が必要とか)
この子達は戸籍がないために小学校すら
通っていなかったといいます。

実際には戸籍がなくとも学校には通える
そうなのですが、それをほとんどの人が
知らないわけです。

子供といってもすでに30歳を超えている
のですが、戸籍がないためちゃんとした
就職もできず比較的審査がゆるやかな
飲食業でバイトなどして
生計を立てているようでした。

問題はそれ以前に自分のアイデンティティーを
持ち得ないことのよで、精神的にもつらい。
そこで役所に相談に行くと
その対応は「裁判所に行け」と
とても冷ややかなものだったとか。

一億数千万のなかのたった2,400人
まさに少数のマイノリティーではあるけれど
こういうことをほおっておいていいのか?

無論、厚生労働省でこの問題に関しては
前々から察知しており、各自治体にちゃんと
対応して相談にのってあげるようにと
通達はしていたそうですが
自治体によって対応に差があるようです。
先の相談者がたらい回しや裁判所へと
厄介者扱いしたのもそのせいで
原因は「この担当者が通達を知らなかった」
というものでした。知らないですむのか?

なんとも溜息がでる。

一億総中流意識なんていわれてた時代にも
彼らマイノリティーはひっそりと生きていたわけだ。

拉致被害者のこととか
少数派だから切り捨てる
という論理もあるのでしょうが
よく考えてごらんよ
ひとつの少数派だけじゃなくもうひとつの
たくさんの少数派が存在するわけです。

2000人の少数派×100=200万人
200万人+200万人+200万人・・2000万人
これで日本の総人口の約1割
ぞれでもまだまだ少数派なのだろうか。

これから、いや今現在でもさえも
年寄りだってマイノリティーじゃなくなる
と同時に、痴呆症の老人だって。
介護問題を抱える人だって少数派じゃなくなる。
病気だってそうです。

誰が正常で何が普通かわからなくなる。

テレビやCMで描く普通の家庭とかが
空々しく思えてくるよ。

その番組のゲストは作家の天童荒太だった。
子供対する性的虐待をテーマにした
永遠の仔』の作者はこう言っていた。
「こういう問題を突きつけられると
 私達はその親の問題に目をむけてしまう。
 しかし、彼ら子供達にはそれはどうすることも
 できない。今大切なのはそういった親の問題
 ではなく、彼らにどう救いの手を差し伸べるか。
 それが大事」なのだと。

まったくその通りだと、痛感させられました。