あかんたれブルース

継続はチカラかな

悪い男、恐い男、俊藤浩滋という男

 昨日、東三河通信さんも「おそめ」を記事にアップしていました。
 トラックバックしてみます。
 こちらも是非どうぞ。

 俊藤浩滋という不思議な存在は知っていました。

 東映の幹部プロデューサーでありながら、若い頃から五島組の賭場に出入りして、
 その方面の交友の広い人物。かといって、やくざではない。ダークな人です。
 彼を知る人たちはみな一応に「恐い人」とコメントしています。

 山口組三代目の大幹部で一時最高派閥を誇った菅谷政雄とのつながりが
 竹馬の友だったことをこの本で知ります。

 「おそめ」は所謂「文壇バー」のはしりで、
 作家、芸術家、政治家、ジャーナリスト、映画関係者が集います。

 川口松太郎川端康成白州次郎マキノ雅弘岡田茂などなど。

 「おそめ」を通じて、東映とのつながりを持った俊藤は、低迷する時代劇路線から
 仁侠路線への架け橋となります。

 やくざをモデルにする仁侠映画はその関係団体との仲介役が大きな役割をはたします。

 これは、ゼネコンの大林組が関西で立脚する上でも必要な要素でした。
 機会があったら創業者・大林芳五郎の話も記事にしますね。そのうち

 俊藤は五島組の組長に我が子のように可愛がられて、菅谷政雄とは実の兄弟以上の関係。
 彼はこれまでの人間界をふるに活用して、その仲介役に奔走したのです。

 また、当時の東映は京都太秦がメインで、
 中村(萬屋)錦之介や東千代之介大川橋蔵などが大スターとされていました。

 東京は現代劇がメインで、マイナーリーグみたいなものです。
 鶴田浩二高倉健はこちらに位置します。

「おそめ」という女性と俊藤という悪い男(2)

 仁侠路線、いわよる着流しものは当初、世間からも評論家からも俳優たちからもバカにされた。
 いぜん、そのことは記事にしましたね。中村錦之介が出演を辞退した話。

 俊藤は仲介役以外にも鶴田浩二高倉健菅原文太のプロモーターも買って出ます。

 東映の仁侠路線は大ヒットして彼らをスターダムに押し上げます。

 そして、俊藤浩滋は日本映画界の大プロデューサーとなる。

 それを、おそめの存在を利用して、という指摘もあるよです。
 それは切っ掛けにはなったでしょうが、
 私は俊藤という人間の生き様い以外の何者でもない。と思います。

 後年、『仁義なき戦い』の大ヒットから第二作『広島死闘編』の制作に対して、
 菅原文太をゴネさせて出演辞退を働きかけたのは俊藤の意図によるものでした。
 これは、彼がプロモートする鶴田や高倉健を擁護するためでもあります。

 文太は笠原和夫と大喧嘩をした後、俊藤を切って、実録路線の大スターになります。
 仁侠路線は消えていきます。

 時代は変わっていく。
 人もその時代に流されていきます。