あかんたれブルース

継続はチカラかな

青鬼さんの無償の愛

愛の眼差し(1)



 おとぎ話、昔話。

 初期の頃ならかぐや姫、桃太郎、浦島太郎、馬太郎などなど、

 どこかSFチェックな趣がありますが、お伽草紙から時代が経つと、

 笠地蔵、舌切り雀、わらしべ長者など、御利益ものに変容していきます。

 例外は「雉も鳴かずば」ぐらいかな?

 そんな例外のなかで、私が一番好きな昔話は、

 赤鬼青鬼

 知ってる?

 むかしむかし、里の奥山に赤鬼と青鬼が仲よく棲んでいたそうな。

 けれども、赤鬼はいつも寂びしそうじゃった。

 不信に思った青鬼は、赤鬼の視線の先を追ってみたそうな。

 そこには山の下で楽しく遊ぶ子供の姿があったんじゃ。

 そう、赤鬼は人間と仲良くしたかったんじゃな。

 けれども人間は鬼を恐がる。決して仲良くはなれないもの。

 赤鬼はそれを知っている。

 だからいつも溜め息をついておったのじゃ。

 そんな赤鬼を、青鬼は哀れに思った。そして、

 ある日、村で青鬼が乱暴狼藉をはたらいた。

 鬼だあ! 鬼だぞお!

 その叫び声が赤鬼の耳にもとどいた。

 赤鬼は大急ぎで山を下りると、暴れ回る青鬼の前に立ちふさがった。

 やめろ!青鬼どん。 ふん、人間なんぞがそんなにいいか。

 青鬼はなおも暴れ続けるのじゃ。手が着けられない。

 赤鬼はたまらず、青鬼と戦うことになるんじゃな。

 二人の戦いは壮絶じゃったが、やがて赤鬼が青鬼をやっつけてしまう。

 青鬼は這々の体で山に逃げて行きおった。ケガをしてボロボロじゃ。

 それを見ていた村人は赤鬼に感謝して、彼をやさしい良い鬼だと認めのじゃ。

 赤鬼はそれから村人と仲良く暮らしたそうな。


 こんな話だったと思います。たしか


 そんな赤鬼の楽しそうな姿を、陰からこっそりと見ている青鬼。

 青鬼は、それを確認すると、ケガをした足を引きずって
 遠くに旅立っていった。


 宮沢賢治の「雨にも負けず」は色々な思いを語って、
 「そんな者になりたい」と締めくくっていた。

 私は青鬼のようになりたいと思った。

 なれるだろうか。