あかんたれブルース

継続はチカラかな

年寄りを悲しませるな

新ハンカチ物語(3)


F爺先生から電話があった。
東大イベントでお世話になった方々に
お礼を申し上げてきたそうです。
首尾は上々でつつがなく午前中におわった。

「それはよかったですね」

「問題はそれからです!」

えっ! なにがあった(汗)
なにをやらかした(汗)

わたしはドキドキしながらFG先生の
興奮気味の話に耳を傾けていました。

ひと仕事終えて、FG先生は東大赤門ハス向かいの
老舗料亭「百万石」でお昼のランチをとったそうです。
今回のイベントの慰労会をかねて
関係者をこの店に招待しようという下見もあった。

ところが、この店の接客姿勢、態度がよろしくない。

酒の冷を頼んだらヌルかった。から始まって
おしぼりがでない。
ハンカチを落としても若い女の従業員が拾おうともしない。

酒のヌルさはいいとして、
おしぼりはないかとその若い店の者にいうと
「うちではおしぼりは出しません」
と、しごくツッケンドンな物言いに
そこはなんたって
ファンキーモンキーティーチャーですから
外から来て手も洗わずに食事はできないではないかと言うと
「トイレで洗ってください」
と、これまた木で鼻をくくったような答え。

おしぼりを出さないのは当店の決まりだという。

まあ、おしぼりを出す出さないは各店の経営方針です。
たとえ紙おしぼりでもコスト削減の方策だったのかしれない。
そんなことは別にどうでもよろしい。
要はその対応の仕方、物言いの問題だ。
客商売、接客業なんだからさ
「すみません。うちは置かなくなったんです」
とか、まず頭を下げて
濡れ布きんか手拭でも絞って持ってくる
機転は利かなかったか天下の「百万石」!

で、落としたハンカチを知らんフリして
拾わなかったことを注意すると

「そういう義務はありません」

だってさ。
そりゃあ落ちたかどうか気がつかなかったかもしれない。
(FG先生にいわせれば知らんフリしてたそうですが)
たしかにそんな義務はない。
ないけれど、そういう物言いはないじゃないか、と。

普通の爺じゃありませんからね。
曲がったことは大嫌い。なんたって生涯教育者ですから。
揉めます。
女将も出てくるけれど、これが余計に話がわからん女将で
収拾がつかなくなった。
五十代の料理長も出てきた。これもイマイチめぐりが悪い。

「お客さん、最近の若者は先輩の言うことなんか聞きません」

こんな愚痴っぽい言い訳なんて
ファンキーモンキーFG先生に通じるわけないじゃないか。
でも、まだ他の者よりはマシだった。

一応、それで腹の虫をおさめて
慰労会で個室を利用したいから奥座敷をみせてほしい
というと
「いま掃除中で見せられない」という。

しかし、融通の利かない店ですねえ(汗)

そういうわけで、この店ではやらないと決めたと
いうわけだ。先生、相当悔しかったようです。

「馬太郎さん、なんですかこの世の中は、この社会は!」

そうですねえ
と相槌をうっていましたが
(以下馬太郎の心のつぶやき)
先生、そんなものですよ。そういうのが多い。
そんなものにいちいち腹立ててもキリがないよ。
しかし、先生は許せなかったんだろうな。
残念で悲しかったんだ。

年寄りを悲しませるなよ。

長引く不況で銀座も閑古鳥
こういった料亭も大変だと思う。
おしぼり出さないのも企業努力なんでしょう。
本音はランチなんかやりたくない。
プライドもあるんでしょう。
味や素材で勝負したいわけだ。

しかしさ、大事なことを忘れている。
そんなことでギクシャクすることないじゃないか。
ある意味で、接客のプロなんだからさ。

そういう場で
義務云々を主張しちゃいけないと思う。

客に対する姿勢を誤っている。
特にクレーマーっていうほどのものじゃないし
そういう人じゃない。
他の客もみてただろうに・・・

ここにもコミュニケーション能力の失墜がある。
大人からしてこうなんですからね。
ここだけの話じゃない。
そこかしこあっちこっちに溢れている。


ひとしきりその理不尽を訴えたら
気がすんだようです。
慰労会は麹町のイタリアンでやるそうな。
FG先生の絵が飾ってある馴染みの店だという。
「それはいいじゃないですか。先生の絵みてみたいし。
 そんなマン糞悪い店なんかごめんですよ」

わざと広島弁の隠語を入れたらみた
隣県の故郷岡山でも通じたのか
先生も「ほんとにマン糞悪い!」と繰り返した(笑)

先生、だから教育改革が必要なんでしょ。
もうひといきじゃないですか。