あかんたれブルース

継続はチカラかな

早熟と円熟の間組



宮崎駿の『耳をすませば』は
なんとも気恥ずかしいというか頭を抱えてしまう作品です。

ヒロインが恋する15歳の少年が早熟なのだ。

「へへへっ、いいじゃねえかあ減るもんじゃあるまいし」

ではなく、中学三年生で、すでに将来の夢・志を持ってる。
バイオリン職人になるために外国に留学するんだと!
で、ヒロインにプロポーズまでしやがった!
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 完敗モンテカル之助


わたしなんぞの中学時代なんて・・・屁みたいもんです。
だからこの作品を観ると胸がうずく、わけだ。
結局、それからなんだかんだ三十年を要してしまった。

いま息子は高校受験です。
できれば、こんなバカ親父の二の舞はやってほしくない。
でもさ、そうそう口でいうほど夢とか志なんて
転がり込んでくるものじゃあないわけだ。
別に否定するわけじゃないけれど『耳をすませば』は
漫画であって、ケースとしてはレアです。

「私にはある」とか「私にはあった」と胸を張る人がいるけれど
なんかそういうのを聞くと、そりゃようございましたね。と
卑屈になってしまいそうです。

馬太郎ブログ米国現地支局のやまさんのリポートから
アメリカンドリーム」の話があった。

その実態云々は別としても
そういった「夢」を肯定する国と否定する国民性の違いは
大きいと思う。

日本人はいつから「夢」を懐疑して、
危険視するようになったのだろうか?

すくなくとも明治期に『自助論』の翻訳版『西国立志編』が
読まれた頃はそうじゃなかったと思う。
いまはそういうことさえも不安視されてしまう時勢です。

人間は夢がないと生きていけない。
日本人は夢というものを
「ドリーム」と「ビジョン」にきっちりわけて把握して
それを認めることが必要だと思います。

子供たちに必要なのは、まずそれであり
いや、子供だけじゃなくて国民すべてだよね。

あなたの夢はなんですか?

仁義なき戦い 広島死闘篇』で千葉真一演じる
大友勝利はこうい言った。
「うまいモン喰ってマブイ女抱くことよ」と。

ま、それもよろしいが、それは割りとすぐできることで
それが達成したらどうなるか。
きっとそれだけじゃ飽きるよね。
勝利はうまい物やいい女に渇望してたわけです。
それが満たされたあと、途方にくれたよね。
勝利の末路は『仁義なき戦い 完結篇』でどうぞ。

この映画の登場人物たちの多くはみんな失敗します。
なぜか?
夢がなかった。
それぞれに夢みたいなものはあったんでしょうが
志というほどのものではなく
目先の利益だけに翻弄され流されて、失敗します。
非常に良いテキストなので
馬太郎の本とあわせて鑑賞してみてください。

夢をもてない
もっちゃいけない国なんて
亡んでしまうよ。

少子高齢化どころの騒ぎじゃない。