あかんたれブルース

継続はチカラかな

見猿聞か猿考え猿

I&U研究所(残酷な話-7)


残酷ってものは教育上よくないのか?
今年の夏、『はだしのゲン』の描写が
残酷だからと問題、論争になりましたね。
まあ実際はその原爆被害の実態表現じゃいのですが
それでも、教育者、保護者、有識者のなかには
残酷なものを子供に見せるはよくない
という思想があることは確かです。

ここにも極論ジャーが潜入しているわけだ。

教育とはなにか?
というものを再考してみるべきだと思う。

見せるか見せないか
失敗させてみるか極力それを避けるか
大変難しい問題でしょうが
これはきめ細かさや手間をいかにかけるかで
学校教育だけじゃなく家庭教育での
大きな役割だと思います。

合理主義や効率性を追求するあまり
そういうこと顧みなくなっている。

やまさんが面白いことをいっていた。
「米国は葉物野菜が高い」
わたしはこの話を聞いて、以前所長が
米国の学校給食の恐い実態の話と繋がりました。

ジャガイモとかトウモロコシに比べて
葉物野菜は手間がかかるんだ。
大規模農法で量産するわけにはいかないんだね。
そこから、「ジャガイモは野菜」という事になる。
確かに野菜だけど、あれは芋だしね(笑)
そこからピザも野菜!という解釈に拡大する。

見せる見せないか・・・これ単純に
どっちがいいといえないのは
あの、みんなが尊敬するマザー・テレサ
残酷なもの(戦争など)は見せない考えない
ようにすることを訴えていたことも悩ましい。

それでも、知らないといけない。

わたしは若い頃、印刷会社で修行したことがあって
ここで写真製版における色調のイロハを
特訓させられました。
このとき役に立ったのは美しい成功例よりも
ミスった失敗例の印刷物が参考になるのですが
そういう失敗作品はなかなか世間には出回らない。
(日本の印刷技術は世界一ですからね)
そうなると、何が良くて何が不味いかの
比べようがない。
結局これが判断基準を曖昧にしてしまう。
後年、出版業界で色校正(カラーチェック)の
作業に立ち会いますが、驚いたのは
どんなベテランの編集者でも、
それを正確に指摘できる人はいませんでした。
彼らは文句(批判すること)を仕事と考えている。
とても曖昧なものです。
「アカうきじゃない。アイが足りない」
それが理解できていない。
なぜこうなのか?
はやい話が彼らは網点が読めないからだ。
そういう教育も訓練も受けていない。
彼女の今日のブラウスの色をYMC墨の四色で
表現する、という訓練など誰もそうそうしません。
ただ、長年のカンとプライドという
とてもいい加減なもので文句をつけている。
印刷屋は影で嗤っているのだ。


いま、知識を信奉するとは別に否定する人もいる。
その知識が理論武装のための論争のための
道具になってしまっている弊害もあって
そんな知識をひけらかす連中をみて
拒絶反応をしめすのもあるんだと思います。
当然コンプレックスもあるとしても。
ただ、そこで
感性とか直感力を持ち出すのですが
それは知識の使い方が不味いわけで
知識自体を否定しちゃうと・・・
そんな感性や直感どほアテにならないものはない。

知識の意味するところのインテリジェンスとは
「情報」ということでもある。
考えるという作業にこの情報は必要不可欠なものだ。
しかし、その考える作業を非効率的と考える
みょうな合理主義が蔓延してしまっている。

5時間かけて考えるより、2分で
このマニュアルを、このテキストを頭に入れ
それを知識として活用する
というのが間違いのない効率的なものである
という発想です。
(5時間かけたからって答えが出るとは限らない)

答えなんかどうでもいいんだ。
要はそのプロセスなんだと思うのですが
それをキレイ事だの非現実的だという。

ここで「絶対」という言葉をあえて用いますが
人間は「相対的」にしか物を考えられません。
それは「比較・対比」であって、
そのギャップがあればあるほど強烈な衝動となる。
そこに想像力洞察力があるのですが
それも「感情移入」できるある種の「体験」が
必要です。
それは実体験だけではなく、
(それじゃあとても賄えない)
様々なバーチャル体験(読書や映像など)から
総動員するわけであり
その引き出しの数と奥行きによる。

いまの、畜産業の実態は残酷だよ。
それは屠殺だけのことじゃなくて
家畜たちの日常の「ライフ」の不自然さであり
これって、拷問であり、地獄そのものだ。
と、普通の神経があればそう思う。

そう思わないのは、普通の神経ではないか
ないように努力しているのか
もしくは、見ないようにしているからだ。
そんなことやってると脳が腐るぞ。

畜産はTPPによって大きく変わります。
卵の高騰はその他の食品の価格に影響するように
乳製品もまた同様です。
http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt131114.html
画像で視聴されたい方は
http://www.youtube.com/watch?v=uSEsQGtL8Lw

これ、とてもよい番組でした。
経済、生産、安全、そして健全な世の中のためにも
なんとか踏ん張ってほいしいものです。


それはそれとして、
わたしがどうしても見過ごせないのは
人間のなかにある「残酷」を求める性質だ。
これも歴然とあります。
感情移入はその抑止力にはなるかもしれない。
ただ、人間のなかに存在する
この凶器を抱え込んでいる事実をを
みないふりしては、これは不味いと思うのです。

なぜ人間はここまで残酷になれるのか?

刺激をもとめている。