あかんたれブルース

継続はチカラかな

ヒミズの歪んだレンズ



出会いがしらの不運なのか
冷たい熱帯魚』で拒絶反応を起こした
最近の日本映画の新鋭とやらの園子温
それだけでダメ出しをするのもなんか酷なので
ヒミズ』を借りて観るもああ無残。

「好き嫌いがあるでしょうからねえ」

いやそうじゃない。それ以前の問題だな
脚本の整合性がおかしいんじゃないか
辻褄があわなくて合点がいかないし
演出もいただけない。
脚本は誰・・園子温 監督は、園子温・・・

原作は古谷実で、
ヤングマガジン」連載(2001~2003)だったとか。
古谷実といえば『行け!稲中卓球部』だったよね。
リアルタイムでゲラゲラ笑って読んでけど
一転ダークでヘビーな作品に挑戦したようです。
その評価も高く、そこから映画化となったわけですね。

映画公開は2012年なのでそこから10年ほど経過
ちょうど東日本大震災とリンクしたようで
またそれが原作にない設定を付随させたことから
余計にわかりにくくしたのかもしれない。
その10年よりも、その後の2年のほうが醒めさせる
要因となったのかなあ、いやそれ以前の問題だ。

なんかさ、暴力の演出というか捉え方がどうかしてる。
それとやくざを安易に活用しすぎてる。
(これは園だけじゃない傾向だね)
まあ原作ではどのへんまで描かれていたのかですが。

客を舐めてるんじゃないか?

今年度最低、いやこの10年間で観たなかで最悪。
評価は、0点です。
こういうのに出くわしたとき途中でやめようと
腰を浮かすのですが、最後まで観ないとなあと
ま、毒を喰らわば皿までもじゃないんだけど
最後まで観ましたが、非常に苦痛だった。

それを語るのもメンドクサイので
今回は「ミスキャスト」につて

たけしの『アウトレイジ ビヨンド』で
西田敏之の起用と、その熱演は痛恨としましたが
この『ヒミズ』の夜野役の渡辺哲の起用はちょっとねえ。
前者とは逆にいつ豹変するかとずっと半信半疑(笑)
吹越満とか贅沢に使ってるのですが
その役柄よりも存在感がありすぎて持て余してしまう。
なにかやらかすか・・・結局なにもやらない
友情出演みたいな感じ。紛らわしいねえ

役者にとって芸域が広いということと
その個性をアピールさせるのは諸刃の剣です。
ショーン・コネリーはそれを嫌って逃走し
名優渥美清は寅さんに殉じた。
それで精一杯なんだといい残して
ま、『まあだだよ』や『ポニョ』の所ジョージ
がよい失敗例ではないかと思われるよ。

戦争映画や東映赤穂浪士みたいに
豪華キャストはいいけれど、そこはそれなりに
配しておかないと戸惑うばかりで
観客は集中力を欠いてしまうものです。

それと、擬音について
最近とみに感じるのですが
銃声の擬音がやたら金属音ぽくてハリウッドぽい。
まあ拳銃の性能があがったのでしょうが
なんというかもっと渇いた間の抜けたような
硝煙の臭いが鼻をつくような
そういうリアリティーがほしいものです。
作品によってはそれぞれ違うぐらいに。
これも暴力ややくざと一緒で
安易に使いまわしているように思われる。

でんでんは相変わらず上手いのですが
設定と殺陣が見事過ぎて、なんかね。
あれだったら渡辺哲と役柄逆だったら良かったかも

もっとも渡辺哲って役者はやくざ役にあわないよ。
西田敏之と同じ会社だ。凄めば凄むほど嘘になる。
ここがこの会社の限界です。

しかし見事に歪んでしまいましたね。
それでけっこう好評価で賞などたくさん受賞してる
ようですが、どんなもんなんでしょうねえ?
ああ~っ、なんか日本映画飽きてしまった。
しばらく観るのやめておこうかな
愛想が尽きそうです。