あかんたれブルース

継続はチカラかな

沁みる八日目の蝉



無料配信で『ぐるりのこと。』(2008)
を観たのですが・・・どうにもこうにも
こういう撮り方が流行りなのでしょうが
間が悪い。
剣道でいえば活人剣殺人剣の後者で
間をおさえることでリアリティーを出そう
という腹なのか・・・結果、間抜けだ。

以前、『そして父になる』を批判したのも
この間のとりかたの不味さからだった。
この監督は『誰も知らない』でそれを
見事に成功したにもかかわらず、これだ。
そして父になる』も
さらには『ぐるりのこと。』でさえも
(監督は別人だよ)
多くの映画祭で評価され評価されている。
これもまた若手クリエイターの方向性を
見誤らせている要因なのかもしれません。
深作欣二はその間を潰していく監督だった。

良い映画っていうのはオープニングから
2、3分でわかるものです。
ピシャーとした間合いというか締まりがある。

いまさらながら
昨夜、『八日目の蝉』をついつい観てしまった。
原作素材がいいのかピシャーとしてたねぇ。
映画化の前にNHKのドラマ10でやってたのは
知っていましたが、これまで観る機会がなかった。
泣かされたましたよ。
だいたい子供絡みっていうのに弱い。
前半の誘拐犯の女性が逃亡中のビジネスホテルで
泣き止まない赤子にどうしようもなく
出もしない自身の乳首を与えるシーンで
もう夜中の砂抜きアサリ状態だ。
実にせつない作品でした。

作りとしては正統派本格派の部類なんでしょうね。

アメリカ映画同様に
家族の絆、壊れた愛の再生みたいなコンセプトが
多くなっています。時代環境なのでしょう。

ドラマ『Mother』でもそうですが
『八月の蝉』でも母子に血縁はありません。
にも関わらずヒロインには強烈な母性が
芽生えて、暴走してしまう。
そして母となる。
その狂気がまぶしいわけです。
社会的には犯罪者であっても

実の母親が我が子を殺す時代
そこにこそ狂気があるのではないか?
同じ狂気でも異質だ。

それでも
愛する者は咎人とされる。
それを許さない社会があります。
その戒律のなかで
私たちは身をよじらせてしがみつこうと
しているのだけれども
『八月の蝉』に登場した神がかりの教祖
エンジェルさんがいった
「属性」の言葉と魂の言葉。
考えさせられます。

八日目の蝉
http://gyao.yahoo.co.jp/player/00460/v12508/v1000000000000000799/?list_id=312066&second=0

まだ無料配信中。