あかんたれブルース

継続はチカラかな

恋の呪文はいもたこなんきん

分福もののけ漫遊記(4)


長江の流れにそってやってきました。
「ここはどこ?」
「さあ・・・」
「さあって、楚の新城に行くんやろ」
「そういわれても地図もないし」
「いい加減なやっちゃな」
旧日本海軍重慶爆撃のとき地図なくて
 雑誌の付録使ってたんだぞ」
「知るかい」
「しかし大きな港だ。ほら見てご覧、
 沢山の船が、あれは・・・大船団だなあ」
「・・・」
「んんっ、こら分福なにを食べてる」
「はにふぉ」
「なにもって、口のそんなに詰め込んで
 まるでお多福風邪だぞ」
「お多福やない!リスや」
「で、何食べてるの?」
「南京豆」
「どうしたの?」
「そこのお土産屋さんで売ってた」
「買ったのか?」
「試供品。南京名物元祖バターピーやって」
「じゃあここは南京なのか」
「カボチャやないで豆でっせ」
「それは南瓜。ここは南京」
「お腹空いたあ」
「南京豆食ったんだろ」
「こんなんじゃ足らへんわ」
「何が食べたい」
「本格中華」
「天津丼か」
「酢豚や!」
「なんかなあ王将レベルだなあ」
「食堂入ろ」
「実は、カネがない」
「甲斐性なしやなあ」
「そういわれても」
「そういえばお土産屋さんに和氏の璧
 売ってたでござるよ」
「そんな馬鹿な。どうせバッタ物だろ」
「ここは中国やしね、本物なんかあらへんよ」
それでも分福に案内されてそのお土産屋さんに
杜子坊は行ってみました。
「閉店大セール・・・広告の品・・
 和氏の璧特価980円
 お一人様一点限りかあ」
「お買い得やな」
「微妙な値段だよなあ
 それにお一人様一点限りって有難味ゼロ」
「みんな偽物でござるな」
「そりゃそうでしょう」
「しかし蝿の多い街やで」
「うん、まるでオーストラリアだね」
「みてみて和氏の璧に蝿がたかって
 あれは模様やないで、蝿でっせ」
「おや、そのなかにひとつだけ」
「蝿がたかってないのがあるやんか」
「待てよお、和氏の璧
 虫除けにもなるっていってなあ」
「もしかすると」
「もしかして」
杜子坊は懐から何かを取り出しました。
「ブラックライト!」
「なにそれ」
「通常の懐中電灯は光で照らす。
 これは闇で照らす道具だよ」
「なんに使うんや?」
「恥しいものを隠すときに使うと開発した」
「誰が」
「僕が」
「売れたんか」
「売れない」
「しょうもない」
「でもここでこの場面で使える。
 和氏の璧は暗闇で光るんだ」
「光るナンバープレートみたいや」
「いいかいこれで照らしてみるよ」
「あっ!」
「光ってる」
和氏の璧!」
「だね」
「買って!」
「カネがない」

この甲斐性なし!